ネジ規格をわかりやすく解説

ボルトとナット

ねじの規格とは世界中で使われているねじの形や大きさを統一するために決められたルールのことです。もしそれぞれのメーカーが勝手に好きな寸法でねじを作ってしまうとボルトとナットがかみ合わなくなり、機械や建物を組み立てることができなくなってしまいます。そこで国際的に取り決めを行い、ねじの直径や山の間隔、角度などを細かく規定する事で異なる会社や国で作られた部品でも問題なく組み合わせられるようにしているのです。

現在、世界で最も広く使われているのは「メートルねじ」と呼ばれる規格で日本やヨーロッパを中心に普及しています。これは「M10」「M16」といったようにMと数値で表記され、その数値が直径を示しています。一方でアメリカやカナダでは「ユニファイねじ」と呼ばれる規格が一般的で、こちらはインチ単位で寸法が決められています。たとえば「1/2-13 UNC」という表記は直径が1/2インチでねじ山が13山ある並目ねじを意味します。また、イギリスでは古くから「ウィットねじ」という規格が使われてきました。現在ではメートルねじやユニファイねじに置き換わりつつありますが、古い機械や一部の分野では今でも使われています。

こうした規格があるおかげで私たちはボルトとナットを安心して組み合わせることができます。もし異なる規格のねじを無理に組み合わせてしまうと、すぐに摩耗したり破損したりして重大な事故につながる恐れがあります。したがって、ねじを使うときには必ず同じ規格のものを選ぶことがとても重要です。ねじは小さな部品ですが、その規格は世界共通の“言語”のようなものであり、産業を支える大切な基盤となっているのです。

日本においてもっとも広く使われているのはメートルねじ

日本においてもっとも広く使われているのは「メートルねじ」と呼ばれる国際規格です。日本工業規格(JIS)でも基本はこのメートルねじで統一されており、建築、機械、自動車など多くの分野で標準的に採用されています。たとえばJIS B 0205ではメートル並目ねじ(一般的なピッチのねじ)、JIS B 0207ではメートル細目ねじ(よりピッチが細かいねじ)が規定されており、日本で製造されるボルトやナットの多くはこの規格に基づいて作られています。

建築分野では特に「高力ボルト」と呼ばれる強度区分8.8以上のメートルねじが多用されます。鉄骨構造物や橋梁に使われる接合部では、摩擦接合や引張接合を行うために高力ボルトが欠かせません。これらはJIS B 1186(摩擦接合用高力ボルト)やJIS B 1180(六角ボルト)といった規格に基づいて設計されており、建築設計指針や国土交通省の基準でも採用されています。日本の建築現場では基本的にメートルねじが主流でユニファイねじやウィットねじが使われることはほとんどありません。

一方で機械分野ではやはりメートルねじが中心ですが、海外から輸入される機械や装置に合わせて他の規格も見られます。アメリカ製の産業機械や自動車部品ではユニファイねじ(UNC、UNF)が使われていることが多く、特に航空機や特殊な産業機械の分野ではまだ現役です。また、イギリス製の古い機械ではウィットねじが使われていることもあります。修理やメンテナンスを行う場合、こうした輸入機械に合わせて特殊なタップやダイスを準備する必要があるのです。

つまり、日本国内の標準規格としては「メートルねじ」が圧倒的に使われていますが、機械分野では輸入品の関係でユニファイねじやウィットねじも限定的に残っている、というのが現状です。建築や土木の世界では国産部材が中心であり、メートルねじ以外が使われることはほぼないと考えてよいでしょう。

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