ボルト締結作業時の危険予知活動について

油圧トルクレンチ

油圧トルクレンチを用いたボルト締結

大口径ボルト締結作業には特有の危険があり、危険予知を徹底し事前にリスクを把握することが重要です。特に反力受けによる指詰めリスクは新技術の活用で大幅に軽減できます。現場では危険予知を適切に行い、労働者の安全を最優先すべきです。最新のテクノロジーを活用しながら危険予知を実施することで、反力受けによる事故を未然に防げます。作業手順の見直しや危険予知訓練の実施により、安全性を向上できます。

危険予知の徹底でボルト締結作業の安全性を向上

ハイトークはボルト締め工程で使用する非常に安全で信頼性の高いボルト締結方法を開発し、手の怪我の発生率を減らし、生産性の低下や怪我に関連するコストを削減します。従来のボルト締結工具を使用することは経済的にも安全面でもリスクがありますが現在は他の選択肢も現在します。

ボルト締結作業における危険予知と安全対策

油圧トルクレンチを使用したボルト締結作業

危険予知を徹底

油圧トルクレンチを用いたボルト締結作業は危険予知を徹底することが安全確保の鍵となります。この作業では油圧ポンプの操作も必要なため、基本的に2人で行うべきです。2人で作業する際には各自の役割を明確にし、危険予知活動を意識しながら、コミュニケーションをしっかり取り、安全に作業を進めることが重要です。

作業者Aが油圧トルクレンチの操作と工具の取り付けを担当し、作業者Bが油圧ポンプの操作やケーブルの管理、作業監視を担当します。作業中の動作確認や開始・停止のタイミングを危険予知をもとに合図や声掛けで統一しなければ、思わぬ事故や怪我の原因になります。特に危険予知トレーニングを活用し、お互いに声かけを意識することが怪我の防止につながります。

役割分担とコミュニケ―ションが重要

油圧トルクレンチを2人で操作する際には危険予知を意識した役割分担とコミュニケーションが非常に重要です。互いに確認しながら作業を進めることで指詰めや工具の不適切な使用による事故を防ぐことができます。安全第一を心掛け、無理をせず適切な手順で作業を行いましょう。また、作業中に異常が発生した場合に備え、危険予知に基づいて油圧ポンプをすぐに停止できるよう準備しておくことが重要です。

作業者B:油圧ポンプを操作、作業全体を監視。作業者A:トルクレンチを操作、工具の取り付けや位置を確認。

危険予知を行いながら作業をスムーズに進めるためのポイント

ポイント 注意点
役割分担を明確にする 作業者A(トルクレンチ操作)、作業者B(ポンプ操作)など、互いの役割を事前に確認。
合図を決めておく 作業の開始・停止、異常時の対応に関する合図を事前に決定。
動作中は指や手を近づけない トルクレンチの回転部分や反力アーム付近に手を置かないよう徹底。
緊急停止の手順を共有する 異常が発生した際にポンプを即座に停止できるように、対応手順を2人で共有。
作業後の点検を行う 工具や設備に損傷がないか、作業後に確認することで次回の作業を安全に進められるよう準備。

ボルト締め作業による手の怪我と危険予知の重要性

大型ボルト締結作業

怪我には十分に気を付けましょう

重工業の現場では危険予知を徹底しないと手の怪我が発生しやすく、作業員に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特にボルト締め作業では、不適切な工具の使用や不注意による事故が多発しやすいため、事前の危険予知活動が不可欠です。

米国労働省の一機関である労働安全衛生庁(OSHA)によると、労働災害全体の約27%が指や手に関する負傷です。これは重工業分野において特に深刻であり、石油・ガス産業では労働者の手や指の負傷が全体の43%を占めています。こうした統計データは、現場での危険予知がいかに重要であるかを示しています。

手の怪我の代償と危険予知の必要性

救急車による搬送

救急車による搬送

ボルト締め作業中に手を怪我した従業員は骨折や後遺症が残ることもあり、作業復帰が難しくなるケースもあります。しかしこれらの怪我の代償は肉体的なものだけに留まりません。手の怪我ひとつで企業には最低でも500万円以上の損害が発生する可能性があり、さらに訴訟リスクの増加にもつながります。

このように重工業のボルト締め作業を行う企業や請負業者は従業員を危険にさらすことで高額な保険料を支払う悪循環に陥る可能性があります。しかし単に保険でリスクをカバーするのではなく、現場での険予知活動を強化することで事故を未然に防ぐことが重要です。

危険予知の徹底が反力受けに伴う指詰めリスク対策になる

特に高トルクのボルト締結作業では危険予知を徹底し、反力受けを適切に扱わないと指や手が挟まれるリスクが増します。ここでは作業の安全性を確保するために考慮すべきポイントを詳しく解説します。

1. 反力受けの正しい使い方と固定の重要性

ボルト締結作業

反力受けを伴うボルト締結

危険予知を怠ると反力受けを適切に固定しないまま作業を行ってしまい、締結時に反力受けがずれたり、工具が不安定に動いたりして、作業者の手や指が挟まれる危険が生じます。そのため、作業前に危険予知ミーティングを行い、反力受けの適切な固定方法を確認することが重要です。反力受けを固定する際はボルト周りの安定した支点を見つけ、確実に設置する必要があります。たとえば、作業対象のフランジや隣接する固定物を支点として活用し、危険予知をもとに「どの位置なら安全か」を判断しながら作業を進めます。

反力受けがボルトから離れすぎない位置に配置する事で工具の動きに過剰な力がかからないようにすることがポイントです。危険予知活動として、反力受けの設置位置や固定状況を作業開始前にチェックすることで工具が急に反動し、手を挟むリスクを軽減できます。

2. 油圧トルクレンチ操作時の指の安全位置確保と危険予知の重要性

ボルト締めに関する教育

ボルト締めに関する教育

油圧トルクレンチを保持する際は、作業者が工具をしっかりと両手で安定して支えることが重要です。片手で操作すると反動や急な動きに対応しづらくなり、指を挟むリスクが増します。そのため、危険予知を意識し、作業の前に安全な持ち方を確認しましょう。また、油圧トルクレンチに安全ハンドルが付属している場合は、必ず危険予知に基づき、安全ハンドルをしっかりと握ることで、指詰めのリスクを軽減できます。

3. 定期的なメンテナンスと点検の重要性と危険予知の徹底

油圧トルクレンチを使用したボルト締結作業

危険予知の徹底

油圧トルクレンチや反力受けは使用頻度が高い場合、摩耗や故障が原因で反力がうまく吸収されないことがあります。これにより、予期せぬ動きが発生し、指詰めのリスクが増します。特に油圧システムの圧力低下やオイル漏れは油圧トルクレンチの動作不良や予期せぬ反力の発生を引き起こす原因となるため、定期的に工具を点検メンテナンスすることが重要です。

反力受けも定期的に点検し、支点部分に磨耗等がないか確認します。反力受けが正しく固定されていないと、作業中に不安定な動作が発生し、指詰めの原因になります。

4. 指詰めリスクを回避するための安全教育と訓練の徹底

トレーニング

トレーニングが必要です

油圧トルクレンチを使用する作業員には反力の発生メカニズムと安全な作業方法について十分な教育が必要です。作業時の指の置き場所や反力受けの使用法についての実務的な訓練を受けることでリスクを事前に把握し回避できます。実際の作業現場で過去に発生した指詰め事故を共有し、具体的な場面でどのように対策を行ったかを理解させる事で作業者の意識を高めます。

指詰め防止のチェックリスト

チェック項目 タイミング
ボルト締結工具とボルトがしっかり固定されているか確認 作業前
反力受けの動作範囲を把握しているか 作業前・作業中
指をボルト締結工具や可動部分に近づけていないか確認 作業中
油圧ポンプの圧力が適切に設定されているか 作業前・作業中
ボルト締結工具の動作が完全に停止してから調整や取り外しを行っているか 作業後

作業前、作業中、作業後の各段階で、以下のポイントを確認しましょう

その他危険予知のために身を守る装備品一覧

ヘルメット

ヘルメット

命を守る重要なアイテム

ヘルメットを装備する事は基本中の基本です。ヘルメットをかぶっていない作業員は現場に入る事はできません。ヘルメットは現場で頭部を守るものです。ヘルメットをしているかいないかで何かあった際のダメージが相当異なってきます。またヘルメットはしっかりとかぶってください。あごひもでヘルメットをしっかりと固定して下さい。

安全靴

安全靴

足の骨を守ります

現場で安全靴の着用は必須です。安全靴は足の甲の部分に鉄板がはいっています。もしも足に何かが落下してきたとしても怪我を防ぐことができます。安全靴には耐衝撃性能以外にも通気性能、防水性能や耐静電気性能等さまざまな機能がオプションで選択可能です。現場に応じて適切な安全靴を選択して下さい。

手袋

手袋

安全な手袋を着用する事は必須

熱や鋭利なものから保護するために安全な手袋を着用する事は必須です。手袋でまず思い浮かぶのは軍手になりますが通常の軍手は通気性や吸汗性が高いのに加えて滑りやすくほつれやすいのでできる事なら皮手袋(本革手袋、合成皮革人工皮革手袋)を使用しましょう。皮手袋は軍手と比べて耐久性と保護性能が高いのが特徴です。

安全帯

安全帯

高所作業では必須

安全帯(フルハーネス型安全帯など)が重要な理由は主に作業者の命を守り、転落事故を防ぐためです。高所作業や危険な環境では転落のリスクがあり、安全帯を正しく使用する事で万が一の事故を未然に防ぐことができます。安全帯は高所作業や危険な環境で作業者の命を守るための最重要装備です。特にフルハーネス型安全帯は全身を支えることで、転落時の衝撃を大幅に軽減し、安全性を大きく向上させます。

保護用メガネ

保護用メガネ

失明を守ります

保護メガネは作業現場においてあらゆる異物が目に侵入するのを防止する役割があります。特に目を負傷してしまうと日常生活に大きな支障もきたしかねない事態になりかねません。作業現場では粉塵舞っているので作業現場では保護メガネは外さないように心がけてください。また、作業中に保護メガネがはずれないようにご自身にあったサイズを使用するようにしましょう。

ソケット

ソケット

高品質ソケット推奨

インパクトグレードのソケットのみを使用してください。使用する前にすべてのソケットを必ず点検してください。特に負荷がかかった状態でソケットを叩いて衝撃を与え、緩ませることは絶対にしないでください。磨耗、ひび割れ、丸み、損傷、改造、不適切なソケットは絶対に使用しないでください。ソケットの破損や滑り、ソケットの粉砕や爆発につながりかねません。万が一にもソケットが爆発した場合、身体に重大な損傷を与える可能性があります。また、それぞれのナットのサイズにあったソケットを使用するようにして下さい。ナットサイズとは異なるソケットを使用してボルト締結もしくは緩め作業をおこなった場合ソケットがナットから外れなくなる可能性がありますのでご注意下さい。

耳栓やイヤーマフ

耳栓

聴覚を守るために必須

聴覚を保護するために耳栓やイヤーマフまたはその両方を着用してください。80dBを超える騒音に長時間または過度にさらされた場合、聴覚障害や難聴になるリスクが高まります。騒音に最もさらされるのは作業員本人ですので耳栓による保護が絶対に必要になります。騒音環境下の中で日常的に仕事をしていると職業性難聴を発症してしまうリスクが高まります。職業性難聴とはその名の通り騒音を伴う環境下での仕事を長期間おこなう事で発症してしまう難聴の事です。騒音環境下での勤務年数が長ければ長いほど難聴は進行してしまうのでその予防策として耳栓やイヤーマフは必須といえます。

デッドマンスイッチ

デッドマンスイッチ

デッドマンスイッチ

デッドマンスイッチはポンプを操作するために2つのリモコンを必要とし作業者の安全を確保するために設計されたポンプ操作用アクセサリです。デッドマン装置とは機械の安全装置を意味しており、作業者が意識不明などの事態になった時や不用意に運転ポジションを離れた際の事故を防止するための装置の事を意味します。

身体の保護

可能な限り長袖や高視認性衣服を着用すること。長袖を着用する事で紫外線から保護する事が可能です。また、高視認性衣服を着用する事で特に重機のオペレーター等が作業者を確認しやすくなります。また衣服は可燃性、燃焼性のものを身につけないこと。ゆったりとした衣服や宝飾品の着用は避ける事を意識して下さい。

照明器具

ライト付きヘルメット

作業者の安全性と作業効率を確保します

工事現場において照明器具は作業者の安全性と作業効率を確保するためです。工事現場では暗い場所や影になりやすいエリアが多くあります。そのため十分な明るさがあれば、作業者はボルトの締め付け作業など、細かい作業を正確に進められるだけではなく明るい環境では疲れにくく、集中力が維持されるため、効率的に作業できます。さらに曇りや雨などの天候不良時でも、照明があれば十分な視界を確保できます。

足元にある段差や工具、資材に気づかずにつまずく危険があります。また、見えにくい状態で機械や工具を操作すると、ケガをするリスクが高まります。暗いと細かい作業や重要な確認ができず、誤った作業をしてしまう可能性があります。

作業現場では危険予知を徹底しなければ、いつ何が起こるか油断できません。

建設現場の安全装備

危険予知の徹底

注意深く行動するのはもちろんの事ですが疲れている時や薬物やアルコールの影響下にあるときは工具を使用しないでください。工具の不用意な使用を避けるために持ち運び中やバッテリーを取り付ける際に、引き金に指を当てたままにしないでください。一歩間違えると反力受けに伴う指の挟みこみ事故が発生します。

すべての回転部品が駆動軸にしっかりと固定されていることを確認して下さい。寄りかかったり、手を伸ばし過ぎたりしない。常に適切な足場とバランスを保ち、手を挟まれないようにしてください。反力受けに手を挟まれないように、また、どのような状況でも工具をより良く制御できるように、常に適切な足場とバランスを保ってください。

ゆったりとした服やアクセサリーを身につけず、髪、服、アクセサリー、靴を脱ぎ着しないようにしてください。また、髪、衣服、アクセサリー、手袋を可動部に近づけないでくだ さい。粉塵除去のための接続装置がある場合、それらが接続され、適切に使用されていることを確認してください。粉塵に関連する危険を減らすために、これらの装置が接続され、適切に使用されていることを確認すること。

当社のボルト締結工具を使用する場合は反力受けに伴う指詰めのリスクが常に付きまといますのでボルトを締めたり緩めたりする場合は最新の注意を払って作業をおこなう事が何よりも優先されます。反力受けの指詰めリスクを排除する解決策は当社の反力ワッシャーを座面とナットの間に入れていただく事です。これさえ可能であれば反力受けに伴う指詰めリスクはなくなります。

HYTORCテクノロジーはその答えです

HYTORCは動力型トルクレンチの反力受けを排除する新技術を開発しました。動力型トルクレンチの反力受けが不要になり、通しボルトだった場合は裏側にハイトークの供回り防止技術を有するバックアップワッシャーを配置する事で、ナットの回転を止めバックアップレンチも不要になります。 非常に安全で簡単にボルト締結作業を行う事が可能となります。

HYTORCの供回り防止ワッシャーはハンズフリー技術によりボルト締結作業の危険性を排除します。この技術を正しく使用すれば手指の事故の危険性を排除することができます。HYTORCの新技術によってもたらされる安全性は計り知れないものがあります。例えば反力ワッシャーソケットの設計は2重構造になっています。

ナットを回しながら2重構造のセーフティーソケットが反力ワッシャーの上で機能するようになっており、その機械加工された表面はボルトの荷重のばらつきを軽減します。また、表面加工によりフランジ全体のボルト荷重のバラツキを抑え、トルク精度と緩み防止を向上させています。この技術を活用する事で怪我につながる事故による損失額を大幅に削減することができます。