油圧トルクレンチのレンタル基礎知識ガイド

屋外で開かれた収納ボックスに並ぶハードケース、ボルト締結工具、ホース

ハイトークは大量のレンタル品をご用意できます

油圧トルクレンチのレンタルは油圧トルクレンチの使用頻度が1年に1-2回程度のお客様には最適な選択肢のひとつです。油圧トルクレンチのレンタルを初めて利用する場合、適切な機種選びや正しい使い方を理解しておくことが重要です。

油圧トルクレンチのレンタルサービスを活用することで高価なボルト締結工具を購入することなく、必要なときだけ使用できるというメリットがあります。しかし、誤った選定や使用方法をすると、不必要なレンタル費用が発生したり作業効率が落ちるだけでなく、事故や機器の破損につながる可能性があるため、基本的な知識を身につけておくことが大切です。

1. レンタルする作業内容に適した機種を選ぶ

油圧トルクレンチには主にソケット交換型タイプとセンターホール型タイプの2種類があり、作業内容や現場の環境によって最適な機種が異なります。作業現場のスペースやボルトの配置を事前に確認し、どちらのタイプが適しているかを判断することが重要です。

ソケット交換型油圧トルクレンチMXT

ソケット交換型油圧トルクレンチMXT

ソケット交換型タイプの油圧トルクレンチ:
この工具は一般的なソケットを取り付けて使用するもので、多くのボルト締結作業に対応可能です。特に、広い作業スペースがある場合や、様々なサイズのボルトを締め付ける必要がある場合に適しています。

カセット交換型油圧トルクレンチSTEALTH

高さ制限がある箇所に適しています

センターホール型の油圧トルクレンチ:
この工具は高さの制限がある狭い場所での作業に適しており、ボルトのサイズに合わせた専用カセットを交換しながら使用します。スペースが限られている場合や、ボルト間隔が狭い箇所での作業に適しています。

2. 油圧トルクレンチ選定のため必要なトルク範囲を把握する

フランジ接続部のボルト締付作業中の様子

しっかりした締結が求められます

油圧トルクレンチは型式によってそれぞれ異なるトルク範囲が設定されています。油圧トルクレンチをレンタルする前に作業対象のボルトに必要な締め付けトルクを確認し、それに適合する機種を選ぶ必要があります。例えば、トルク帯が小さい機種を選んでしまうと、十分な締め付けができず、ボルトの緩みや脱落の原因となる可能性があります。

一方で、必要以上に高トルクの機種を選ぶとボルトやナットを破損するリスクがあるだけでなく、重量や操作性の面でも負担が増えるため、適切な範囲のものを選ぶことが重要です。また、固着したボルトなどの緩め作業が発生する場合は機種選定に注意が必要で締め作業の1.5倍前後の出力トルクに対応した油圧トルクレンチを選択する必要があります。

3. レンタル時に油圧トルクレンチの反力受けを確認する

油圧トルクレンチは非常に強いトルクを発生させるため、使用時に反力を受け止める反力受けの適切な取り付けが必要です。レンタルする油圧トルクレンチの機種がどのような反力受けを備えているのか、また、作業環境に適合するかを事前に確認しておくと、スムーズな作業が可能になります。

反力受けが適切な位置に固定されていないと油圧トルクレンチが跳ね返ったり、思わぬ方向に力が加わったりする危険があるため、しっかりと取り付けができる場所があるか確認することが重要です。

4. 油圧トルクレンチの付属品をチェックする

油圧トルクレンチをレンタルする際には本体だけでなく、油圧ポンプ、油圧ホース、ソケット(またはカセット)、反力受けなどもレンタルする必要がでてきますのでそれらの付属品が揃っているかを確認することが重要です。特に油圧ポンプと油圧ホースは適合する規格のものでなければ正常に作動しないため、油圧トルクレンチのレンタル時に必ずチェックしましょう。油圧ホースの長さも確認する必要があります。当然ソケットも必要になります。作業範囲やボルトサイズを考慮し、足りないものがないか事前に確認しておくことが大切です。

5. レンタル品の使用場所の電源や油圧ポンプの仕様を確認する

油圧トルクレンチを使用するには油圧ポンプが必要です。レンタルする油圧ポンプが電動式なのか、エア駆動式なのかを確認し、作業現場に適したものを選びましょう。作業現場の環境に合わせて適切なポンプを選び、必要な設備が揃っているかも事前にチェックすることが大切です。

電動式油圧ポンプ

電源が確保できる現場では、安定した出力が得られるため、電動ポンプが適しています。多くの場合電動油圧ポンプをご利用いただくお客様が多いようです。ただし、使用する電圧(100V/200Vなど)も確認しておく必要があります。

エアー駆動式油圧ポンプ

電源が取れない場合は、エアーコンプレッサーを使用するタイプのポンプが必要です。使用するエア供給量や圧力も事前に確認しておきましょう。

バッテリー式油圧ポンプ

バッテリー駆動のため、コンセントやエアコンプレッサーが不要で電源のない屋外や高所などの現場でも使用できます。これにより、送電線工事、橋梁工事、鉄道メンテナンスなど、電源確保が難しい作業環境での利便性が向上します。バッテリー式油圧ポンプはエア駆動式のようなコンプレッサーの騒音がなく、電動式と比べても動作音が静かです。住宅地や屋内の工場など、騒音を気にする環境での使用に適しています。また、排気ガスが発生しないため、屋内でも安心して使用可能です。

6. 油圧トルクレンチの取扱説明書やサポートの有無を確認する

初めて油圧トルクレンチを使用する場合は油圧トルクレンチの取扱説明書や使用マニュアルが付属しているかどうかを確認しましょう。特に油圧トルクレンチの操作方法や安全対策について不明点がある場合はレンタル会社に問い合わせ、事前に使用方法を理解しておくことが重要です。さらにレンタルする油圧トルクレンチに校正のオプションがあるかどうかも確認する事が重要です。基本的に校正証明書の発行はオプションになっている事が多いようです。校正は校正時に規定のトルク精度が出ていたかを証明する上で重要な項目になります。また、トルク換算表も同梱するように伝えた方が良いでしょう。

トルク換算表とは?

トルク換算表とは油圧トルクレンチにおいて、設定する油圧(MPaまたはpsi)と、それに対応する出力トルク(Nmやlbf・ft)を対応させた一覧表のことです。油圧トルクレンチは油圧ポンプから供給される油圧によって駆動されるため、油圧の設定値を調整することで、出力トルクを変えることができます。このため、正しい締め付けトルクを得るには、使用するレンチに適した油圧とトルクの関係を理解し、適切に設定する必要があります。

また、万が一の故障やトラブルが発生した場合に備えて、レンタル会社のサポート体制や緊急連絡先を確認しておくこともおすすめです。

油圧トルクレンチのレンタル会社選定基準

油圧トルクレンチをレンタルする際には適切なレンタル会社を選ぶことが作業の効率や安全性、コスト管理に大きく影響します。まず、レンタル会社が取り扱っている機種の種類や在庫の充実度を確認することが重要です。ソケット交換型タイプやセンターホール型タイプの両方を扱っているか?必要なトルク範囲に対応できる機種があるかを調べることで該当作業に最適な油圧トルクレンチを選ぶことができます。また、油圧ポンプの種類(電動式、エア駆動式、バッテリー式)や、複数台のレンタルが可能かどうかも事前に確認するとよいでしょう。

油圧トルクレンチのレンタル料金についても、コストパフォーマンスを考慮する必要があります。単に安いだけでなく、付属品(油圧ポンプ、ホース、反力アームなど)のレンタル費用が含まれているか、長期レンタルの割引があるか、送料や返却時の追加費用が発生するかなど、総合的に比較することが大切です。さらに、油圧トルクレンチのレンタル品の破損時の補償内容や、万が一の故障時の対応についても確認し、予期しない出費を防ぐようにしましょう。

また、油圧トルクレンチのレンタル品のメンテナンスや校正がしっかり行われているかも重要なポイントです。油圧トルクレンチは高い精度が求められるため、定期的なメンテナンスが実施されているか、レンタル前後に点検・清掃が行われているかをチェックすることが必要です。特に、校正証明書の発行が可能かどうかは、精密なトルク管理が求められる現場では必須となるでしょう。

付属品やオプションの充実度も、作業のスムーズさに影響を与えます。適切な油圧ポンプが選択できるか、ホースの長さが作業に適しているか、ソケットや反力受けが用意されているかを確認し、必要なものが揃っているか事前にチェックすることが重要です。また、取扱説明書やトルク換算表が付属しているかも確認しておくと、初めて使用する場合でも安心して作業ができます。

油圧トルクレンチのレンタル中にトラブルが発生した際に迅速にサポートを受けられるかどうかも、選定基準のひとつです。技術サポートが提供されているか、故障時に代替機の手配が可能か、緊急時の問い合わせ対応が行われているかなど、事前にサポート体制を確認しておくことで、作業中のトラブルを最小限に抑えることができます。

油圧トルクレンチのレンタル手続きがスムーズであるかどうかも、選定時に考慮すべきポイントです。即日または短期間でのレンタルが可能か、オンラインでの申し込みや見積もりができるか、レンタル期間の延長が柔軟に対応できるかを確認することで、急な作業にも対応しやすくなります。返却手続きが簡単で、配送業者を利用したスムーズな返却が可能かどうかも、作業効率を考える上で大切です。

また、油圧トルクレンチのレンタル会社の実績や信頼性も見極めるポイントとなります。建設業界や製造業、発電所などでのレンタル実績が豊富であるか、口コミやレビューでの評判が良いかを調べることで、安心して利用できる会社を選ぶことができます。さらに、ISO認証や品質管理基準を満たしている会社であれば、より信頼性が高いと言えるでしょう。

最後に油圧トルクレンチのレンタル契約の内容をしっかりと確認することが重要です。故障時の補償内容、事故や破損時の保険適用の有無、レンタル期間の延長手続きの柔軟性など、契約条件をよく理解し、トラブルを未然に防ぐようにしましょう。契約違反時のペナルティについても事前に確認し、追加費用が発生しないよう注意することが大切です。

このように油圧トルクレンチのレンタル会社を選ぶ際には、機種の種類やレンタル料金、メンテナンス品質、サポート体制、手続きのスムーズさなどを総合的に比較し、作業に最適な会社を選ぶことが重要です。適切な会社を選ぶことで、作業効率を向上させ、油圧トルクレンチのレンタルコストを抑えながら、安全かつ確実にボルト締結作業を行うことができます。

レンタルに関するまとめ

油圧トルクレンチをレンタルする際にはまず作業内容に適した機種を選び、必要なトルク範囲や作業環境を考慮して、最適な油圧トルクレンチを選定することが重要です。また、反力受けの取り付け場所を確認し、付属品やポンプの仕様が作業現場に適合するかを事前にチェックしておくことで、スムーズに作業を進めることができます。

さらに油圧トルクレンチの取扱説明書の有無やサポート体制を確認しておくことで、万が一のトラブルにも対応しやすくなります。油圧トルクレンチのレンタル前にこれらのポイントをしっかり確認することで、安全かつ効率的に油圧トルクレンチを活用することができます。レンタル品の選定は常にレンタル会社に確認を取りながらおこなう事で選定のミスが発生するリスクを最小限に抑える事ができます。