歯付きワッシャーとは?役割・注意点等を解説

歯付きワッシャーとはワッシャー(座金)の外周または内周にギザギザした歯が付いている部品です。見た目は平ワッシャーに似ていますが周囲に細かい歯がある点が大きく異なります。

なぜ現在でも歯付きワッシャーは使われているのか?

特に大きな理由のひとつが「電気的な導通確保」です。例えば制御盤やアース接続では、金属表面に塗装や酸化膜があることが多く、そのままボルトを締め付けても金属同士が十分に接触しない場合があります。接触が不十分だと、電気が流れにくくなったり、接触抵抗が不安定になったりすることがあります。そこで歯付きワッシャーを使用すると、ワッシャーの歯が塗装や酸化膜を破りながら金属表面へ食い込みます。その結果、金属同士が直接接触しやすくなり、安定した導通を確保しやすくなります。このため、歯付きワッシャーは現在でも制御盤、配電盤、電装機器、自動車のアース、電気設備などで非常によく使用されています。

また、小型機器などでは「多少回転しにくくなる」という効果も実用上役立っています。歯が相手材へ軽く食い込むことで、単純な平ワッシャーよりは回転抵抗が増えるためです。もちろん、強い振動下で完全にゆるみを防げるわけではありませんが、軽微な振動環境では十分実用になる場合があります。さらに歯付きワッシャーは構造が非常にシンプルで安価です。特殊な工具も必要なく、通常のボルト締結に追加するだけで使えるため、コストを抑えながら一定の効果を得やすいという利点があります。

一方で、橋梁や大型機械のような強振動環境では、現在はダブルナットなどより確実に軸力を維持できる方法が主流です。つまり、歯付きワッシャーは「強力なゆるみ止め」として残っているのではなく、“導通確保”や“簡易的な回転抵抗”を目的とした実用部品として、現在でも重要な役割を持っているのです。

【参考記事】以下資料ではユンカー試験の分類として
「Ineffective securing elements(効果のない緩み止め要素)」の中にToothed washers DIN 6797が明記されています。
7.4.1 Ineffective securing elements
https://www.warburtons.com.au/_files/ugd/68ddff_684e731724934a649d206e6314726bf9.pdf

歯付きワッシャーの種類について

歯付きワッシャーにはいくつかの種類がありますが、基本的には「どこに歯が付いているか」「どのように食い込ませるか」によって分類されます。代表的なのは「外歯形」と「内歯形」で用途によって使い分けられています。

外歯形(外側に歯があるタイプ)

外歯形はワッシャーの外周部分に歯が付いているタイプです。見た目は太陽のように外側へギザギザが広がっている形をしています。このタイプは歯が外側に大きく張り出しているため、相手材へ比較的強く食い込みやすいのが特徴です。そのため、内歯形よりも回転抵抗を得やすい傾向があります。特に金属板や筐体などへしっかり食い込ませたい場合によく使用されます。

また、歯が外周にあることで接触半径が大きくなるため、比較的小さい締付力でも引っ掛かりを得やすいという特徴があります。一方で、歯が外へ飛び出しているため、見た目が目立ちやすく、狭い場所では周囲へ干渉することがあります。そのため、外観を重視する製品やスペースが限られる場所では注意が必要です。

内歯形(内側に歯があるタイプ)

内歯形はワッシャーの内周側に歯が付いているタイプです。歯がボルト穴の周囲に並んでいる構造になっています。外歯形よりも外周がスッキリしているため、周囲へ飛び出しにくく、狭い場所でも使いやすいのが特徴です。特に電子機器や制御盤などでは、見た目やスペースの制約から内歯形がよく採用されます。

また、ボルト頭やナットの下へ隠れやすいため、外側から歯が見えにくいという特徴もあります。ただし、歯の位置が中心側になるため、外歯形と比較すると食い込みによる回転抵抗はやや小さい傾向があります。

歯付きワッシャー使用時の注意点

歯付きワッシャーを使う際は「歯をしっかり食い込ませること」が重要です。そのため、締付不足だと歯が十分に接触せず、期待する導通性が得られない場合があります。逆に締め付けすぎると、歯が過度に潰れたり、相手材へ深い傷を付けたりすることがあります。特にアルミや樹脂のような柔らかい材料では注意が必要です。また、歯付きワッシャーは基本的に「座面へ傷を付ける部品」です。そのため、化粧面や外観品質を重視する製品には向かない場合があります。

この記事を書いた人

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