スプリングワッシャーとは?効果・使い方・規格・注意点を解説

スプリングワッシャーとは切れ目とねじれを持つばね状の座金です。ボルトやナットの下に入れて使用し、締付時に押しつぶされることで反発力を発生させます。ただし、強い振動や重要な締結部において、スプリングワッシャーだけで確実にゆるみを防げるわけではありません。締付力が大きい場合は平坦につぶれてばね性が失われやすく、実務上は補助的な部品として考える必要があります。

スプリングワッシャーとは

スプリングワッシャー

スプリングワッシャーとはリング状の金属に切れ目があり、らせん状に少しねじれた形状をした座金です。日本語では「ばね座金」とも呼ばれます。一般的にはボルト頭またはナットの下に入れて使用します。

スプリングワッシャーを締め付けると押しつぶされる方向に変形し、元の形状に戻ろうとする反発力が発生します。この反発力によって、締め付けの途中では一定のばね作用が生じます。

ただし、一般的な切れ目のあるスプリングワッシャーは本締め時には平らに近い状態まで圧縮されることが多く、締結後に期待できるばね作用は限定的です。そのため、スプリングワッシャーだけで振動による緩みを確実に防止したり、接触面の沈み込みによる軸力低下を十分に補ったりできるとは限りません。

軸力を厳密に維持する必要がある場合や強い振動が加わる箇所では使用条件に適した別の緩み止め方法も検討する必要があります。

スプリングワッシャーはゆるみ止めになるのか

スプリングワッシャーの特徴

一般的なスプリングワッシャー(ばね座金)と平ワッシャー(平座金)の併用は可能です。特にアルミ材、塗装面、樹脂、薄板など、座面を傷付けたくない場合には一定の意味があります。

スプリングワッシャーには切れ目があるため、端部がナットや座面に接触する際にわずかな引っかかりが生じます。この接触は完全な面当たりではなく、局所的に力がかかるため、微小ながら回転に対する抵抗を生み出します。この点が一般に「ゆるみ止め効果」として認識されている部分です。

ただ、スプリングワッシャーは実質的に有効なゆるみ止めとしては扱われないことも多い部品です。締付力が大きい場合、スプリングワッシャーは比較的容易に押しつぶされ、ほぼ平らな状態になります。そうなると反発力や弾性は小さくなり、本来の追従性も十分に発揮されにくくなります。

そのため、スプリングワッシャーは常に一定のゆるみ止め効果が得られる部品ではありません。使用条件によって性能が大きく変わるため、強い振動が加わる場所や重要な締結部ではスプリングワッシャーだけに頼らず、他のゆるみ止め対策を検討する必要があります。

【参考記事】ユンカー試験結果例
この資料ではユンカー試験の典型結果として、スプリングワッシャーは
「未使用と同等」または「場合によっては緩みを促進」という記述があります
https://www.boltscience.com/pages/self-loosening-of-threaded-fasteners.pdf

スプリングワッシャー(ばね座金)の使い方

基本的な取り付け位置はナットと相手材の間、またはボルト頭と相手材の間です。一般的にはナット側に入れて使われることが多く、ナットを締め付けたときにスプリングワッシャーが押しつぶされることで反発力を発生させます。

平ワッシャーと併用する場合は、相手材を傷つけにくくするために相手材側に平ワッシャーを置き、その上にスプリングワッシャー、最後にナットという順番で使われることがあります。ただし、使用環境や規格、メーカー指定によって適切な組み合わせは異なるため、重要な締結部では図面や仕様書を優先してください。

スプリングワッシャーインストール

スプリングワッシャーに向きはあるのか

一般的なスプリングワッシャーは基本的に表裏の向きを厳密に指定しないで使用されることが多い部品です。ただし、切れ目部分には段差があり、締付時に座面やナットへ局所的に接触します。そのため、相手材がアルミ、樹脂、塗装面などの傷つきやすい材料である場合は注意が必要です。切れ目の端部が座面に食い込むことで、圧痕や傷が残ることがあります。重要な締結部や外観部品ではスプリングワッシャーの向きだけで解決しようとせず、平ワッシャーの併用、座面材質の見直し、別のゆるみ止め方法の採用を検討することが重要です。

スプリングワッシャーの向き

スプリングワッシャーのメリット・デメリット

項目 内容
メリット 安価で入手しやすい
メリット 取り付けが簡単
メリット 微小な沈み込みに対して一定の追従性がある
メリット 一般的な機械部品や軽負荷部品で使いやすい
デメリット 強い振動環境では確実なゆるみ止めにならない
デメリット 締付力が大きいと平坦につぶれてばね性が小さくなる
デメリット 座面に傷や圧痕を残すことがある
デメリット トルク管理時に軸力がばらつく原因になる場合がある

スプリングワッシャーは安価で使いやすい反面、強い振動や高い信頼性が求められる締結部では限界があります。使用する場合は部品の重要度、振動の有無、相手材の硬さ、締付トルク、再使用の有無を確認したうえで選定することが重要です。

スプリングワッシャー(ばね座金)の注意点

ばねとしての機能が持続しにくい点です。スプリングワッシャー(ばね座金)は締め付け時に押しつぶされることで反発力を生みますが締め付け力が大きい場合には比較的容易に平らに近い状態まで変形してしまいます。こうなると弾性はほとんど失われ、本来期待されていた軸力の追従性や補助的な効果はほぼ機能しなくなります。つまり、使用条件によっては最初から「ばねとして働いていない状態」になる可能性があるということです。

さらに接触面へのダメージも無視できません。スプリングワッシャー(ばね座金)は切れ目の端部が局所的に当たる構造のため、締め付け時にその部分が座面へ食い込みやすくなります。特にアルミや塗装面などの柔らかい材料では傷や変形を引き起こしやすく、座面の平面性が損なわれることで面圧が不均一になります。その結果、ボルトの軸力が安定しにくくなり、かえって緩みやすい状態を作ってしまうこともあります。

特に締付力が大きい場合にはスプリングワッシャーが押しつぶされながら端部が局所的に強く接触するため、座面に圧痕(へこみ)や引っかき傷のような跡が残ることがあります。これはスプリングワッシャーの構造的な特徴によるものであり、完全に避けることは難しいです。

加えて、トルク管理との相性が良くない点もデメリットです。スプリングワッシャー(ばね座金)が介在することで接触状態が複雑になり、摩擦条件が安定しにくくなります。ボルト締結ではトルクと軸力の関係が摩擦に大きく依存しているため、この摩擦が変動すると、同じトルクで締め付けても得られる軸力にばらつきが生じます。その結果、規定トルクで締めていても実際には十分な締結力が得られていない可能性があり、品質管理上の不確実性が高まります。

【参考記事】NASA『Fastener Design Manual』
NASAが公開している締結部品の設計マニュアルです。
PDFの9ページ付近に一般的なヘリカル形のばね座金について次の趣旨が明記されています。https://ntrs.nasa.gov/api/citations/19900009424/downloads/19900009424.pdf
ばね座金はボルトを締め付けている途中ではばねとして働く。しかし、ボルトが完全にトルク締めされる頃には、通常は平らになっている。その時点では平座金と同等であり、ロック能力は存在しない。

スプリングワッシャー(ばね座金)の規格表・寸法・サイズ一覧

スプリングワッシャー寸法図

スプリングワッシャー(ばね座金)は切れ目を持つばね構造のため、通常の平ワッシャーより寸法ばらつきが大きくなりやすい部品です。特に外径や高さ方向は熱処理やねじれ角度の影響を受けます。

呼び径 内径 d (mm) 内径許容差 外径 D (mm) 外径許容差 厚さ t (mm) 厚さ許容差
M2 2.1 ±0.1 4.4 ±0.2 0.5 ±0.05
M2.5 2.6 ±0.1 5.1 ±0.2 0.6 ±0.05
M3 3.1 ±0.1 6.0 ±0.2 0.8 ±0.08
M4 4.1 ±0.1 7.6 ±0.3 0.9 ±0.08
M5 5.1 ±0.1 9.2 ±0.3 1.2 ±0.10
M6 6.1 ±0.1 11.8 ±0.3 1.6 ±0.12
M8 8.2 ±0.15 14.8 ±0.4 2.0 ±0.15
M10 10.2 ±0.15 18.1 ±0.5 2.5 ±0.15
M12 12.2 ±0.2 21.1 ±0.5 3.0 ±0.20
M14 14.2 ±0.2 24.1 ±0.6 3.5 ±0.20
M16 16.2 ±0.2 27.4 ±0.6 4.0 ±0.25
M18 18.2 ±0.2 29.4 ±0.7 4.5 ±0.25
M20 20.2 ±0.25 33.6 ±0.7 5.0 ±0.30
M22 22.5 ±0.25 35.9 ±0.8 5.5 ±0.30
M24 24.5 ±0.25 40.0 ±0.8 6.0 ±0.35
M27 27.5 ±0.3 44.0 ±1.0 7.0 ±0.40
M30 30.5 ±0.3 48.2 ±1.0 7.0 ±0.40
M33 33.5 ±0.35 53.0 ±1.2 8.0 ±0.50
M36 36.5 ±0.35 58.0 ±1.2 9.0 ±0.50
M39 39.5 ±0.4 61.0 ±1.5 9.0 ±0.50
M42 42.5 ±0.4 66.0 ±1.5 10.0 ±0.60
M45 45.5 ±0.5 71.0 ±1.5 11.0 ±0.70
M48 48.5 ±0.5 75.0 ±1.5 12.0 ±0.80

上記寸法は参考値であり、製造方法や材質、熱処理により実際の寸法は若干異なる場合があります。

この記事を書いた人

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