スプリングワッシャー(ばね座金)とは?効果・デメリット・規格を解説

スプリングワッシャー(ばね座金)はリング状の金属に切れ目を入れ、さらにわずかにねじれた形状をしているため、ボルトやナットで締め付けるとその段差が押しつぶされるように変形します。このときに完全に平らになろうとする力、つまり反発力が生じ、これがばねとしての働きをします。

この反発力は非常に大きいものではありませんが締結後に起こる微小な変化に対して一定の役割を果たします。例えば、締め付けた直後は接触面の凹凸が押しつぶされることでわずかに沈み込みが発生し、通常であれば軸力が低下しますがスプリングワッシャー(ばね座金)が介在していると、その反発力によって急激な低下をやや緩和することができます。

また、切れ目のある構造によって、ワッシャーの端部がナットや座面に接触する際にわずかな引っかかりが生じます。この接触は完全な面当たりではなく、局所的に力がかかるため、微小ながら回転に対する抵抗を生み出します。この点が一般に「緩み止め効果」として認識されている部分ですが実質的に有効なゆるみ止めとしては扱われないことが多いのが現実です。

さらに重要な特徴として、このばね性は締め付け条件に大きく左右されるという点があります。締め付け力が大きい場合、スプリングワッシャー(ばね座金)は比較的容易に押しつぶされてしまい、ほぼ平らな状態になります。そうなると反発力はほとんど残らず、本来の特徴である弾性や追従性は失われてしまいます。このため、常に一定の効果が得られるわけではなく、使用条件によって性能が大きく変わる部品であることも特徴の一つです。

【参考記事】ユンカー試験結果例
この資料ではユンカー試験の典型結果として、スプリングワッシャーは
「未使用と同等」または「場合によっては緩みを促進」という記述があります
https://www.boltscience.com/pages/self-loosening-of-threaded-fasteners.pdf

スプリングワッシャー(ばね座金)の使い方

スプリングワッシャー(ばね座金)の使い方としては、ボルトとナットで部材を締め付ける際に、ナットの下へ入れて使用するのが一般的です。ナットを締め付けるとスプリングワッシャー(ばね座金)は押しつぶされる方向に変形します。このとき、元に戻ろうとする力が発生し、その反発力によってナットへ継続的な押し付け力が加わります。これがスプリングワッシャー(ばね座金)の基本的な働きです。ただし、実際には締付トルクが大きいとスプリングワッシャー(ばね座金)は平坦につぶれます。

また、スプリングワッシャー(ばね座金)はどのようなボルトにも万能に使えるわけではありません。例えば建築鉄骨や橋梁などで使われる高力ボルトでは一般的にスプリングワッシャー(ばね座金)は使用されません。高力ボルトでは非常に大きな軸力を正確に管理する必要があり、スプリングワッシャー(ばね座金)を入れることで座面状態が不安定になったり、締付軸力にばらつきが生じたりする可能性があるためです。そのため、専用の高力ボルト用座金が使用されます。

現在でもスプリングワッシャー(ばね座金)は機械設備、制御盤、自動車整備など幅広い場面で使用されています。ただし近年では、振動が大きい設備や重要な締結部ではハードロックナット、ダブルナット、ナイロンナット、ねじロック剤など、より確実なゆるみ止め方法が採用されるケースが増えています。そのため、スプリングワッシャー(ばね座金)は実質的に有効なゆるみ止めとしては扱われないことが多いのが現実です。

スプリングワッシャー(ばね座金)の注意点

注意点

ばねとしての機能が持続しにくい点です。スプリングワッシャー(ばね座金)は締め付け時に押しつぶされることで反発力を生みますが締め付け力が大きい場合には比較的容易に平らに近い状態まで変形してしまいます。こうなると弾性はほとんど失われ、本来期待されていた軸力の追従性や補助的な効果はほぼ機能しなくなります。つまり、使用条件によっては最初から「ばねとして働いていない状態」になる可能性があるということです。

さらに接触面へのダメージも無視できません。スプリングワッシャー(ばね座金)は切れ目の端部が局所的に当たる構造のため、締め付け時にその部分が座面へ食い込みやすくなります。特にアルミや塗装面などの柔らかい材料では傷や変形を引き起こしやすく、座面の平面性が損なわれることで面圧が不均一になります。その結果、ボルトの軸力が安定しにくくなり、かえって緩みやすい状態を作ってしまうこともあります。

特に締付力が大きい場合にはスプリングワッシャーが押しつぶされながら端部が局所的に強く接触するため、座面に圧痕(へこみ)や引っかき傷のような跡が残ることがあります。これはスプリングワッシャーの構造的な特徴によるものであり、完全に避けることは難しいです。

加えて、トルク管理との相性が良くない点もデメリットです。スプリングワッシャー(ばね座金)が介在することで接触状態が複雑になり、摩擦条件が安定しにくくなります。ボルト締結ではトルクと軸力の関係が摩擦に大きく依存しているため、この摩擦が変動すると、同じトルクで締め付けても得られる軸力にばらつきが生じます。その結果、規定トルクで締めていても実際には十分な締結力が得られていない可能性があり、品質管理上の不確実性が高まります。

スプリングワッシャー(ばね座金)規格表

スプリングワッシャー寸法図

スプリングワッシャー(ばね座金)は切れ目を持つばね構造のため、通常の平ワッシャーより寸法ばらつきが大きくなりやすい部品です。特に外径や高さ方向は熱処理やねじれ角度の影響を受けます。

呼び径 内径 d (mm) 内径許容差 外径 D (mm) 外径許容差 厚さ t (mm) 厚さ許容差
M2 2.1 ±0.1 4.4 ±0.2 0.5 ±0.05
M2.5 2.6 ±0.1 5.1 ±0.2 0.6 ±0.05
M3 3.1 ±0.1 6.0 ±0.2 0.8 ±0.08
M4 4.1 ±0.1 7.6 ±0.3 0.9 ±0.08
M5 5.1 ±0.1 9.2 ±0.3 1.2 ±0.10
M6 6.1 ±0.1 11.8 ±0.3 1.6 ±0.12
M8 8.2 ±0.15 14.8 ±0.4 2.0 ±0.15
M10 10.2 ±0.15 18.1 ±0.5 2.5 ±0.15
M12 12.2 ±0.2 21.1 ±0.5 3.0 ±0.20
M14 14.2 ±0.2 24.1 ±0.6 3.5 ±0.20
M16 16.2 ±0.2 27.4 ±0.6 4.0 ±0.25
M18 18.2 ±0.2 29.4 ±0.7 4.5 ±0.25
M20 20.2 ±0.25 33.6 ±0.7 5.0 ±0.30
M22 22.5 ±0.25 35.9 ±0.8 5.5 ±0.30
M24 24.5 ±0.25 40.0 ±0.8 6.0 ±0.35
M27 27.5 ±0.3 44.0 ±1.0 7.0 ±0.40
M30 30.5 ±0.3 48.2 ±1.0 7.0 ±0.40
M33 33.5 ±0.35 53.0 ±1.2 8.0 ±0.50
M36 36.5 ±0.35 58.0 ±1.2 9.0 ±0.50
M39 39.5 ±0.4 61.0 ±1.5 9.0 ±0.50
M42 42.5 ±0.4 66.0 ±1.5 10.0 ±0.60
M45 45.5 ±0.5 71.0 ±1.5 11.0 ±0.70
M48 48.5 ±0.5 75.0 ±1.5 12.0 ±0.80

上記寸法は参考値であり、製造方法や材質、熱処理により実際の寸法は若干異なる場合があります。

この記事を書いた人

当部署はデジタルマーケティングからリアルなプロモーション活動まで幅広く対応し、変化の激しい市場環境の中でも柔軟かつスピーディーに対応することを強みとしています。

企業競争力を高め、持続的成長に貢献することを使命とし、常に効果検証と改善を繰り返しながら、最適解を追求し続けます。