耐カジリ性ファスナー技術評価

HYTORCは耐カジリ性ファスナー製品の性能を実証、検証するためにこの試験を実施しました。この試験では耐カジリ性ファスナーと従来のファスナーを高い応力と温度にさらすことでカジリ発生の可能性がある耐カジリ性能を比較検証しました

試験体は 3グループに分けました。第1・第2のグループはHYTORCナットのグループです。第3のグループは通常のナットのグループとなります。3つのグループすべてに60ksiまで負荷をかけて385°Cで1,000 時間保持しました。 各グループのボルト長は 8 インチで、すべて ASTM A193 グレード B16 のボルトを使用しました。(1-3/4”-8 ボルトサイズ)

第1グループは、それぞれが Jetlube 550 Extreme で潤滑され、60ksi に荷重された 12 個のボルトで固定された被締結体で構成されていました。 第1グループの 12 個の試験体のうち 6 個には、耐かじり性ファスナーの組み合わせが含まれます。 残りの 6 つの試験体は比較対照として使用され、耐かじり性機能は含まれていません。

2 番目のグループは、Jetlube 550 Extreme の代わりにワセリンで潤滑しました。 このグループはそれ以外は第一グループと同じ条件の12 個の試験体で構成されていました。 この場合もグループ内の 12 の試験体のうち 6 つだけが、 HYTORC 独自の耐かじり性機能付き製品との組み合わせになっています。 その他は耐かじり性機能なしとなっています。

第3のグループである通常の六角ナット グループは、標準の A194 グレード 2H ナットにトルクを加えることによって荷重および解放される 4 つの試験体で構成されていました。 4 つの試験体のうち 2 つが Jetlube 550 Extreme で、2 つが ワセリンで潤滑されます。 これらの 4 つの試験体は、かじりに関してHYTORC ナットのねじ山と、標準の 2H ナットねじ山と差異がないという仮定の検証のために行われました。

第1グループの結果(Jetlube 550 Extremeグリース)

HYTORC NUTの被試験体は、明確な性能特性の違いを示しました。被試験体の 6 個のうち 6 個は、油圧トルク ツールを使用して簡単に取り外すことができ、手で分解できました。それらの被試験体にかじりや摩耗の兆候はありませんでした。

対照的に、耐カジリ性機能無しの被試験体の 6 個すべてが油圧トルク ツールでは簡単に取り外しできませんでした。荷重開放開始後、6個すべてがトルクレベルの上昇を経験。6個のうち5個の試験体が緩め始めて2回転でねじ山が完全にかじりました。 6 個のうち 1 個は完全に分解できましたが、ネジ部の75% で、分解するのに締め込み時の 3 倍を超えるトルクが必要でした。

最後の 25% のねじ山は手動スパナを使用して緩めました。この被試験体6 個中 6 個が座面に大きなかじりを示し、6 個中 5 個がねじ山の焼き付きを示しました。完全に分解できた一個の被試験体も、ネジ部表面にかなりのかじりが見られました。

第2グループの結果 (Petroleum Jelly ワセリン)

Jetlube 550 Extremeの最初のグループの被試験体に、これほど顕著で徹底したネジの焼き付きが発生したので2次グループの緩めを行うのに十分なトルクを安全に加えることができない可能性があることがわかりました。第2グループ耐カジリ性機能有する試験体の6個がテストされましたが、緩みプロセスを開始するためのトルクレベルは被試験体と工具の最大許容値のすぐ近くでした。

しかし6個中4個の試験片に許容値内のトルクをかけ、緩めることができました。一旦緩みが始まると、4個の被試験体はそれぞれ1回転以内に外れ、手で完全に分解することができました。4個ともカジリや磨耗の兆候は見られなかった。このようにトルクの制限と、分解された試験体の明確な証拠から、残りの2個を分解しても得るものはないと判断されました。又、焼付き防止剤の代わりにワセリンで組み立てられた残りのグループの耐カジリ性機能無しの試験体を分解しても、得るものは何もないと判断しました。

六角ナットグループ結果

最初に、Jetlube 550 Extreme 焼付防止剤試験体2つを緩める試みが行われました。 緩めるのに十分なトルクを使用しました。 ただし、緩め始めから完全にかじり込むまで、両試験体共トルクが大幅に増加しました。どちらも、AISI 4140 ワッシャーの回転座面と2H ナットの間に著しいかじりの兆候が見られました。 これらの試験結果として、このグループの 2 つのワセリンで潤滑された試験体を緩めるのは安全でなく、又価値がないと判断されました。

結論について

当社の耐カジリ性ファスナーは厳しい条件下でもカジリを防止することができました。このような厳しい温度や荷重条件下で焼付防止剤で潤滑管理された通常のファスナーは100%カジリを起こしました。ネジのカジリや冷間溶接が原因でボルト締結に問題がある場合はハイトークの耐カジリ性技術は軽減策として検討すべきものです