
ワッシャー(座金)は、ボルトやナットと被締結物の間に入れて使用する部品です。代表的な役割は、締付荷重の分散、座面の保護、ボルト穴まわりの接触面積の確保などです。種類によっては、緩み対策、絶縁、密封、位置調整などにも使用されます。ワッシャーには平ワッシャー、ばね座金、歯付きワッシャー、皿ばねワッシャー、テーパーワッシャー、シムワッシャーなど多くの種類があります。本記事では、それぞれの役割やJIS規格、サイズの見方、正しい入れ方、選び方まで解説します。
ワッシャー(座金)とは
ワッシャーとは、ボルトやナットと被締結物の間に挟んで使用する部品で、日本語では「座金」と呼ばれます。代表的な平ワッシャーは、ボルト頭部やナットの座面より広い面積で締付荷重を受けることで、座面圧を分散し、被締結物の陥没や傷付きを抑える役割があります。ワッシャーには平ワッシャーだけでなく、ばね座金、歯付きワッシャー、皿ばね座金、テーパーワッシャー、シムワッシャーなど多くの種類があります。それぞれ役割が異なるため、「ワッシャーを入れれば必ず緩みを防止できる」というものではありません。用途や締結条件に応じて適切な種類を選ぶことが重要です。
ワッシャーの役割
ワッシャーの役割は、ボルトやナットの座面と被締結物の間に入り、締付け時に発生する力を適切に受け持つことです。代表的な平ワッシャーは、ボルト頭部やナットから伝わる荷重を広い面積へ分散し、被締結物の陥没や傷付きを抑えるために使用されます。ただし、すべてのワッシャーが同じ役割を持つわけではありません。平ワッシャー、スプリングワッシャー、歯付きワッシャー、皿ばねワッシャー、テーパーワッシャー、シムワッシャーなど、種類によって目的や機能は異なります。特に「ワッシャーを入れれば必ず緩みを防止できる」と考えるのは適切ではなく、緩み止め効果が期待できるかどうかはワッシャーの種類や締結条件によって異なります。
座面圧を分散する
ボルトやナットを締め付けると、その座面には大きな圧力が加わります。平ワッシャーを使用すると、ボルト頭部やナットより広い面積で荷重を受けることができるため、被締結物にかかる座面圧を分散できます。
特にアルミ、樹脂、木材、薄板など比較的柔らかい材料では、ワッシャーを使用しないとボルト頭部やナットが部材へめり込んだり、局部的な変形が発生したりする場合があります。ワッシャーによって荷重を広い範囲へ分散することで、締結部の変形や損傷を抑えやすくなります。
被締結物の傷や陥没を防ぐ
ワッシャーには、ボルトやナットを締め付けた際に座面が直接被締結物へ接触するのを避け、表面を保護する役割もあります。締付け時にはボルト頭部やナットが回転しながら座面へ押し付けられるため、塗装面や柔らかい金属、樹脂などでは傷や圧痕が生じることがあります。平ワッシャーを挟むことで接触面積を広げ、座面の傷付きや陥没を抑えることができます。
ボルト穴との接触面積を確保する
被締結物のボルト穴がボルト径より大きい場合や、長穴が設けられている場合には、ワッシャーによって座面の接触面積を確保することがあります。ボルト頭部やナットの座面だけでは穴を十分に覆えない場合、適切な外径のワッシャーを使用することで、荷重を安定して被締結物へ伝えやすくなります。ただし、穴径が大きい場合は通常の平ワッシャーではなく、外径や厚さが適した製品を選ぶ必要があります。
締結部の摩擦状態を安定させる
ワッシャーは、ボルトやナットの座面と被締結物の間に一定の接触面を設けることで、締付け時の摩擦状態を安定させる目的で使用されることもあります。ボルト締結では、締付トルクのすべてがボルトの軸力へ変換されるわけではなく、ねじ部や座面の摩擦に多く消費されます。そのため、座面の材質、表面処理、潤滑状態、ワッシャーの有無などによって、同じ締付トルクでも発生する軸力が変化する場合があります。重要な締結部では、ワッシャーを含めた締結条件を統一し、設計や施工要領で指定された条件に従うことが重要です。締付トルクと軸力の関係を適切に管理する考え方についてはトルク管理とは?で詳しく解説しています。摩擦状態と締付トルクの関係についてはトルク係数とは?もあわせてご覧ください。
種類によっては緩み対策に使用する
ワッシャーの中には、ボルトやナットの回転を抑制する目的で使用されるものがあります。代表例として、歯付きワッシャーやくさびロックワッシャーなどがあります。一方、一般的な平ワッシャーは主に荷重分散や座面保護を目的とする部品であり、平ワッシャーを入れるだけで緩みを防止できるわけではありません。また、スプリングワッシャーについても、使用条件によっては十分な緩み止め効果を得られない場合があります。振動や衝撃が大きい締結部では、ワッシャーだけに頼らず、ロックナット、ダブルナット、ねじロック剤などを含め、使用環境に適した緩み止め方法を検討する必要があります。
絶縁・密封・位置調整などに使用する
ワッシャーは、荷重分散や座面保護以外の目的にも使用されます。例えば、樹脂製ワッシャーは金属部品同士の電気的な絶縁や表面保護に使用されることがあります。シールワッシャーはゴムなどの密封材を組み合わせ、油、水、空気などの漏れを抑える目的で使用されます。
また、シムワッシャーは薄い板厚を利用して部品間のすき間や位置を微調整するために使われます。テーパーワッシャーは傾斜した座面を補正し、ボルトやナットが適切な角度で締結できるようにする役割があります。このように、ワッシャーは種類によって役割が大きく異なります。適切なワッシャーを選ぶには、単にボルト径だけで判断するのではなく、「荷重を分散したい」「座面を保護したい」「緩みを抑えたい」「傾斜を補正したい」「絶縁・密封したい」といった使用目的を明確にすることが重要です。
ワッシャーの種類
| 種類 | 主な役割 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 平ワッシャー | 荷重分散・座面保護 | 一般的なボルト締結 |
| スプリングワッシャー | ばね作用を利用 | 一般機械など |
| 歯付きワッシャー | 回転抑制・導通 | 電装品・機械 |
| 皿ばねワッシャー | ばね力による荷重維持 | 機械・熱変化がある箇所 |
| テーパーワッシャー | 傾斜面の補正 | 形鋼など |
| シムワッシャー | すき間・位置調整 | シャフト・ベアリング |
| 樹脂ワッシャー | 絶縁・表面保護 | 電気・電子機器 |
| シールワッシャー | 密封 | 配管・油圧機器 |
| ゴムワッシャー | 振動吸収・表面保護 | カバー・機器類 |
| くさびロックワッシャー | 回転ゆるみ対策 | 振動を受ける締結部 |
平ワッシャー

平ワッシャーは完全に平らな円盤形状をしており、あらゆる締結の基本として広く使用されています。ボルトやナットの締結力を広い面積で受け止めることで被締結物の表面にかかる面圧を低減し、座面の陥没や傷付きを防ぎます。特にアルミや樹脂、塗装された部材では平ワッシャーを使用するかどうかで外観品質や耐久性が大きく変わります。ただし一般的な平ワッシャーの主な役割は荷重分散や座面保護であり、平ワッシャー単体を積極的な緩み止め部品として考えるのは適切ではありません。また、ワッシャーを含む座面条件を一定にすることは、締付け時の摩擦条件のばらつきを抑えるうえで重要です。ただし、発生する軸力はワッシャーの有無だけでなく、材質、表面処理、潤滑状態、ねじ部の摩擦などにも影響されます。
ばね座金(スプリングワッシャー)

ばね座金(スプリングワッシャー)は、切れ目の入った形状を持つ座金です。締結条件によってその効果は異なるため、振動や衝撃が大きい重要締結部では、スプリングワッシャー単独の効果を過信せず、設計条件に適した緩み止め方法を検討することが重要です。
歯付きワッシャー

より積極的に回転を防止したい場合に使われるのが歯付きワッシャーです。ワッシャーの内周または外周にギザギザの歯が設けられており、締結時に相手材へ食い込むことで回転を抑制します。この歯が塗装膜や酸化皮膜を破るため、電気的な導通を確保したい場面でも有効です。制御盤や電装部品、モーター周辺などで多く採用されています。ただし歯が相手材を傷つけるため、外観品質が求められる箇所や再使用を前提とした締結には注意が必要です。
高硬度平ワッシャー

高硬度平ワッシャーは、高い締付荷重を受ける締結部で、ボルトやナットの座面による被締結物の陥没を抑えるために使用されるワッシャーです。焼入れ鋼などの高硬度材料を使用した製品があり、座面を安定させることで締付条件の再現性を確保しやすくなります。使用する場合は、適用規格、硬さ、強度区分、ボルト・ナットとの組み合わせを確認して選定することが重要です。
皿ばねワッシャー

ばね性を積極的に利用するワッシャーとしては皿ばねワッシャーがあります。円錐形状をしており、締結時に強いばね力を発生させます。このばね力によって、温度変化による膨張や収縮、あるいは振動による微小な緩みが発生しても、軸力を維持しやすくなります。精密機械や高温環境、繰り返し荷重がかかる箇所で特に効果を発揮します。複数枚を組み合わせることで特性を調整できる点も、皿ばねワッシャーの大きな特徴です。
テーパーワッシャー

テーパーワッシャーは取り付け面が傾いている場合でもボルトやナットを正しく締結するための調整用ワッシャーです。主に形鋼や鋳物など、座面が平行でない部材に使われます。テーパーワッシャーの最大の特徴はワッシャー自体に角度(テーパー)が付いている点です。この角度によって、傾斜した面の上に置いても、上側(ボルト・ナットが当たる面)を水平に近づけることができます。その結果、ボルト軸に対して偏った力がかかるのを防ぎ、締結部の信頼性を高めます。
例えば、H形鋼や溝形鋼(チャンネル鋼)ではフランジの内側が斜めになっていることが多く、そのまま平ワッシャーを使うとナットが傾いた状態で締まってしまいます。この状態ではボルトに曲げ応力が発生しやすく、緩み・疲労破壊・座面の局部損傷といったトラブルにつながります。テーパーワッシャーを使用する事でナットが面全体で均等に当たり、軸力を素直にボルトへ伝えることが可能になります。
使い方としては傾斜している部材側にテーパーワッシャーを入れ、ナットやボルト頭が当たる面を平行に補正するのが基本です。向きを間違えると逆に傾きが大きくなるため、テーパーの向きには注意が必要です。用途としては、鉄骨構造物、架台、配管サポート、機械フレームなど、形鋼同士をボルト締結する場面でよく使われます。特に建築・プラント・重機分野では、テーパーワッシャーの有無が締結品質に大きく影響します。
テーパーワッシャーの解説動画
シムワッシャー

締結というよりも位置決めや調整の目的で使われるのがシムワッシャーです。非常に薄い板状のワッシャーで厚み精度が高く、複数枚を組み合わせることで微調整が可能です。ベアリングの予圧調整やシャフト位置の微調整など、精度が要求される組立工程で多く用いられます。見た目は地味ですが、機械の性能や寿命を左右する重要な役割を果たします。
くさびロックワッシャー

くさびロックワッシャーは、振動などによるボルト・ナットの回転ゆるみを抑える目的で使用されるワッシャーです。2枚1組で使用され、カム形状によるくさび効果を利用して、ボルトやナットが緩もうとする動きを機械的に阻止します。振動による回転ゆるみが問題となる締結部で使用される製品があります。製品によっては、メーカーが定める条件のもとで再使用できるものもあります。
樹脂ワッシャー

樹脂ワッシャーは、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート、PTFEなどの樹脂材料で作られたワッシャーです。金属製ワッシャーと比べて軽量で、電気を通しにくい材質を選べることから、絶縁、表面保護、腐食対策、異種金属同士の直接接触防止などを目的として使用されます。
特に電気・電子機器では、金属部品同士を電気的に絶縁したい場合や、基板・筐体・センサー周辺で導通を避けたい場合に使用されます。また、樹脂ワッシャーは金属製ワッシャーより柔らかいため、塗装面や樹脂部品、アルミなど傷付きやすい被締結物の表面保護にも適しています。
一方で、樹脂は金属に比べて耐熱性、圧縮強度、耐クリープ性が低い場合があります。高温環境や高い締付荷重がかかる箇所では、長期間の使用によって変形し、軸力が低下する可能性があります。そのため、使用する樹脂ワッシャーの材質特性や使用温度、許容荷重を確認することが重要です。
また、薬品、油、水分などにさらされる環境では、使用する樹脂によって耐薬品性や吸水性が異なります。樹脂ワッシャーを選ぶ際は、単に「絶縁できるか」だけで判断せず、使用温度、締付荷重、耐薬品性、耐摩耗性、絶縁性能、被締結物との相性まで確認してください。
樹脂ワッシャーは、一般的な平ワッシャーと同様に荷重分散や表面保護の目的で使用されることがありますが、高荷重の締結部では金属製ワッシャーの代替として使用できない場合があります。重要な締結部では、設計図面やメーカー仕様に従って適切な材質と寸法を選定することが必要です。
シールワッシャー

シールワッシャーは、金属製ワッシャーとゴムやエラストマーなどのシール材を組み合わせ、ボルトやねじの締結部から液体や気体が漏れるのを抑えるために使用するワッシャーです。座面で荷重を受けるだけでなく、シール材を圧縮することで、ボルト穴まわりのすき間を埋めて密封性を高めます。
主に油圧機器、配管、ポンプ、バルブ、自動車部品、屋外設備などで使用され、水、油、空気などの漏れ対策が必要な締結部に採用されます。金属ワッシャーにゴムを一体化したタイプでは、金属部分が締付荷重を受け持ち、ゴム部分が密封機能を担う構造が一般的です。
ただし、シールワッシャーは使用するシール材によって耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐候性が異なります。例えば、使用温度や接触する油・薬品の種類によっては、ゴムが膨潤、硬化、ひび割れを起こし、シール性能が低下する可能性があります。そのため、使用環境に適した材質を選ぶことが重要です。
また、締め付け不足では十分にシール材が圧縮されず、反対に締め付けすぎるとゴム部分が過度に変形したり損傷したりする場合があります。シールワッシャーを使用する際は、適合するボルト径、座面形状、締付条件、使用温度、流体の種類、シール材の耐性を確認し、メーカーの指定条件に従って使用してください。
なお、シールワッシャーは主に密封を目的とする部品であり、一般的な緩み止めワッシャーとは役割が異なります。漏れ防止と緩み対策の両方が必要な場合は、それぞれの目的に適した部品や締結方法を組み合わせて検討する必要があります。
ゴムワッシャー
ゴムワッシャーは、天然ゴムや合成ゴムなどの弾性材料で作られたワッシャーです。金属製ワッシャーとは異なり柔軟性があるため、振動の吸収、すき間の密封、表面保護、絶縁、異音の抑制などを目的として使用されます。
主な用途としては、機械設備、電気・電子機器、自動車部品、配管まわり、カバーやパネルの固定部などが挙げられます。ボルトやナットと被締結物の間にゴムワッシャーを挟むことで、金属同士の直接接触を避け、振動や衝撃が伝わりにくくなる場合があります。また、柔らかい部材や塗装面の傷付き防止にも有効です。
ゴムワッシャーは圧縮されることで、ボルト穴まわりのすき間を埋めるため、簡易的な防水・防塵用途に使用されることもあります。ただし、密封性能が必要な箇所では、一般的なゴムワッシャーではなく、用途に適したシールワッシャーやガスケットなどを使用する必要があります。
一方で、ゴムは金属と比べて締付荷重に対する変形が大きく、時間の経過によって圧縮永久ひずみやクリープが発生する場合があります。その結果、締結部の軸力が低下する可能性があるため、高い締付力を維持する必要がある重要締結部では注意が必要です。
また、ゴムの種類によって耐熱性、耐油性、耐候性、耐薬品性が大きく異なります。使用する際は、使用温度、接触する油や薬品、屋内・屋外環境、必要な締付荷重、振動条件などを確認し、用途に適した材質を選定してください。
ゴムワッシャーは、振動吸収や表面保護、簡易的な密封に適した部品ですが、すべての締結部に使用できるわけではありません。ボルト締結の強度や軸力管理が重要な箇所では、設計図面やメーカー仕様に従って使用することが重要です。
ワッシャーの主な材質
ワッシャーには鉄鋼、ステンレス鋼、銅、樹脂、ゴムなどさまざまな材質があります。使用する環境や締付荷重、耐食性、絶縁性などによって適した材質は異なるため、寸法だけでなく材質も確認して選定することが重要です。
| 材質 | 主な特徴 | 主な用途・使用例 |
|---|---|---|
| 鉄鋼 | 強度が高く、一般的な締結部で広く使用される | 機械、設備、建築、一般産業機器 |
| ステンレス鋼 | 耐食性に優れ、さびにくい | 屋外設備、水まわり、食品機械、化学設備 |
| 銅 | 電気伝導性や熱伝導性が高く、比較的柔らかい | 電気接続部、端子部、シール用途など |
| アルミニウム | 軽量で、耐食性に優れる | 軽量化が必要な機器、電子機器など |
| 樹脂 | 軽量で電気を通しにくく、絶縁や表面保護に適する | 電気・電子機器、基板、センサー周辺 |
| ゴム | 弾性があり、振動吸収や簡易的な密封に適する | カバー、配管まわり、機器類、防振用途 |
| 黄銅 | 耐食性や加工性に優れ、電気伝導性もある | 電気部品、計装機器、配管部品など |
| 高硬度平ワッシャー | 座面陥没の抑制 | 高い締付荷重を受ける締結部 |
材質によって強度、耐熱性、耐食性、摩擦特性などが異なります。重要な締結部では、使用環境だけでなく設計図面やメーカー仕様に指定された材質を優先してください。
ワッシャーのJIS規格
ワッシャーには、種類によってJIS規格が定められています。代表的なものとして、平座金はJIS B 1256、ばね座金・皿ばね座金・歯付き座金・波形ばね座金はJIS B 1251で規定されています。ワッシャーを選定する際は、名称や呼び径だけでなく、適用規格、内径、外径、厚さ、材質などを確認することが重要です。また、強度区分を規定した炭素鋼・合金鋼製平座金の機械的・物理的性質については、JIS B 1061で規定されています。
| 種類・内容 | 代表的なJIS規格 |
|---|---|
| 平座金 | JIS B 1256 |
| ばね座金 | JIS B 1251 |
| 皿ばね座金 | JIS B 1251 |
| 歯付き座金 | JIS B 1251 |
| 波形ばね座金 | JIS B 1251 |
| 強度区分を規定した平座金 | JIS B 1061 |
ワッシャーのサイズの見方
ワッシャーのサイズを確認する際は、主に「内径」「外径」「厚さ」の3つを確認します。使用するボルトの呼び径に合う内径を選ぶことが基本ですが、被締結物の材質や穴径、締付荷重などによって必要な外径や厚さも異なります。
ワッシャーの内径
内径はワッシャー中央の穴の直径です。基本的には使用するボルトの呼び径に対応したワッシャーを選びます。例えばM10ボルトにはM10用のワッシャーを使用します。ただし、M10用ワッシャーの実際の内径が10.0mmという意味ではなく、ボルトを通せるように一定のクリアランスが設けられています。
ワッシャーの外径
外径はワッシャー全体の直径です。外径が大きいほど荷重を広い範囲へ分散しやすくなるため、柔らかい部材や大きなボルト穴、長穴などでは外径の大きなワッシャーが使用されることがあります。
ワッシャーの厚さ
厚さはワッシャーの強度や変形しにくさに関係します。高い締付荷重が加わる場合は、十分な厚さや機械的性質を持つワッシャーを選ぶ必要があります。ワッシャーの寸法は種類や適用規格によって異なるため、実際に選定する際はJIS規格、メーカーの寸法表、設計図面などを確認してください。平ワッシャーの呼び径ごとの内径・外径・厚さなど、具体的な寸法を確認したい方は平ワッシャー(平座金)の規格・サイズ一覧をご覧ください。
ワッシャーの正しい入れ方・順番
ワッシャーを正しく使用するには、種類を選ぶだけでなく、ボルトやナットのどちら側へ入れるのか、複数のワッシャーを使用する場合にどの順番で取り付けるのかを確認することが重要です。ただし、ワッシャーの取り付け位置や順番には、すべての締結部に共通する一律のルールがあるわけではありません。締結構造、使用するワッシャーの種類、被締結物の材質、設計条件などによって異なるため、設計図面、施工要領書、機械・設備メーカーの指定がある場合は、その指示を優先してください。
ワッシャーはボルト側とナット側のどちらに入れる?
平ワッシャーは、ボルト頭部またはナットの座面と被締結物の間に入れて使用します。どちら側に入れるかは締結構造や使用目的によって異なり、「必ずボルト側」「必ずナット側」という一律の決まりはありません。例えば、ナットを回転させて締め付ける場合は、
**ナット → 平ワッシャー → 被締結物**
という配置が用いられます。一方、ボルト頭部側にも座面保護や荷重分散が必要な場合は、
**ボルト頭部 → 平ワッシャー → 被締結物**
のように配置します。締結条件によってはボルト頭部側とナット側の両方にワッシャーを使用する場合もあります。設計図面、施工要領書、メーカーの指定がある場合は、その指示を優先してください。
平ワッシャーとスプリングワッシャーの順番
平ワッシャーとスプリングワッシャーを併用する場合、一般的には「ナット → スプリングワッシャー → 平ワッシャー → 被締結物」の順番が用いられます。ただし、締結条件によって異なるため、設計図面やメーカーの指定を優先してください。
ワッシャーを入れるときの注意点
ワッシャーを使用する際は、ボルト径に適合したサイズを選び、座面へ正しく密着していることを確認してください。ワッシャーが斜めになっていたり、穴径や外径が用途に適していなかったりすると、荷重を適切に受けられない場合があります。
また、ワッシャーの重ね過ぎや、用途の異なるワッシャーを自己判断で組み合わせることは避けてください。特に重要な機械や構造物では、使用するワッシャーの種類、枚数、取り付け位置について設計図面や施工要領書の指定を確認することが重要です。
ワッシャーは必要?使用する理由と不要な場合
ワッシャーは、すべてのボルト締結に必ず必要な部品ではありません。使用する目的は、座面圧の分散、被締結物の表面保護、ボルト穴まわりの接触面積の確保、絶縁、密封、位置調整などさまざまです。そのため、ワッシャーが必要かどうかは、ボルトやナットの種類だけでなく、被締結物の材質、穴径、締付荷重、使用環境、設計条件などを確認して判断する必要があります。
特に、アルミ、樹脂、木材、薄板など比較的柔らかい材料を締結する場合は、ボルト頭部やナットの座面が部材へめり込んだり、表面を傷付けたりすることがあります。このような場合には、平ワッシャーを使用して荷重を広い範囲へ分散することで、座面の陥没や損傷を抑えやすくなります。
また、ボルト穴がボルト径より大きい場合や長穴が設けられている場合にも、適切な外径のワッシャーを使用することで、ボルト頭部やナットの座面が穴へ入り込むのを防ぎ、安定した接触面積を確保できます。
一方で、十分な座面が確保されており、被締結物にも必要な強度がある場合は、ワッシャーを使用しない締結もあります。例えば、フランジ付き六角ボルトやフランジナットのように、ボルト頭部やナット自体に広い座面が設けられている製品では、設計上ワッシャーを必要としない場合があります。
また、「ワッシャーを入れれば必ず緩みを防止できる」と考えるのは適切ではありません。一般的な平ワッシャーの主な役割は荷重分散や座面保護であり、単体で強い緩み止め効果を持つものではありません。振動や衝撃による回転ゆるみへの対策が必要な場合は、使用条件に応じて歯付きワッシャー、くさびロックワッシャー、ロックナット、ダブルナットなど、別の緩み止め方法を検討する必要があります。
ワッシャーを使用した方がよい代表的なケース
- 被締結物がアルミ、樹脂、木材、薄板など比較的柔らかい
- ボルト頭部やナットによる傷や圧痕を抑えたい
- ボルト穴が大きい、または長穴になっている
- 座面圧を広い範囲へ分散したい
- 傾斜面を補正したい
- 絶縁、密封、すき間調整などの機能が必要
- 設計図面や施工要領でワッシャーの使用が指定されている
ワッシャーが必ずしも必要ではないケース
- ボルト頭部やナットに十分な座面が確保されている
- 被締結物に十分な強度があり、座面陥没のおそれが小さい
- フランジボルトやフランジナットなど、広い座面を持つ締結部品を使用する
- 設計上、ワッシャーを使用しないことが指定されている
最終的には、「ワッシャーを入れるかどうか」を慣習だけで判断するのではなく、何のために使用するのかを明確にすることが重要です。 ワッシャーの必要性は締結部ごとに異なるため、重要な機械や構造物では設計図面、施工要領、メーカーの指定を優先してください。
用途に合ったワッシャーの選び方
ワッシャーを選ぶ際は、まず「何のために使用するのか」を明確にすることが重要です。座面圧を分散したいのか、被締結物を保護したいのか、傾斜を補正したいのか、絶縁・密封・位置調整を行いたいのかによって、適したワッシャーは異なります。
| 使用目的 | 選択候補 |
|---|---|
| 座面圧を分散したい | 平ワッシャー |
| 柔らかい部材を保護したい | 外径の大きい平ワッシャー |
| 傾斜面を補正したい | テーパーワッシャー |
| すき間・位置を調整したい | シムワッシャー |
| 電気的に絶縁したい | 樹脂ワッシャー |
| 液体や気体の漏れを抑えたい | シールワッシャー |
| 振動を吸収したい | ゴムワッシャーなど |
| 回転ゆるみへの対策を行いたい | 用途に適したロック機構・ロックワッシャー |
ワッシャー選定においてよく見られる失敗として、平ワッシャーを入れているから緩まないと思い込んでしまうことや高力ボルトにばね座金を組み合わせてしまうケースがあります。また、歯付きワッシャーによって外観不良が発生したり、ワッシャーを省略した結果としてアルミ部材が座面陥没を起こすことも少なくありません。こうしたトラブルを避けるためには、ワッシャーの役割と使用条件を理解し、用途に適した種類を選定することが重要です。
ワッシャーは小さな部品ですがその選択一つで締結品質は大きく変わります。緩みを防ぎたいのか、座面を保護したいのか、軸力を安定させたいのか、あるいは位置を調整したいのか。その目的を明確にし、使用環境や締結条件を踏まえて適切な種類を選ぶことが重要です。ワッシャーを正しく使い分けることは締結技術の基礎であり、現場力そのものと言っても過言ではありません。
特殊用途で使用されるワッシャー
反力ワッシャー

反力ワッシャーとは主に油圧トルクレンチや大型ボルト締付け時に発生する反力(トルクの戻り力)を受け止めるためのワッシャーです。一般的な平ワッシャーが主に「座面保護」「面圧分散」などを目的とするのに対し、反力ワッシャーは作業時の安全確保と工具の安定化を目的とした特殊な用途のワッシャーです。
【参考記事】ハイトークワッシャーシステム
バックアップワッシャー

バックアップワッシャーは、ボルト締付け時に反対側のナットが一緒に回転する「供回り」を抑える目的で使用される特殊なワッシャーです。対応する締結条件では、反対側のナットをバックアップレンチやスパナで保持する作業を省略できるため、作業工程の簡素化や作業者が反力部付近へ手を近づける機会の低減につながります。使用できるボルト・ナットの条件や施工方法については、製品仕様を確認してください。
【参考記事】供回り防止向けワッシャー紹介
ワッシャーについてよくある質問
ワッシャーは何のために入れるのですか?
ワッシャーは、主にボルト頭部やナットから加わる荷重を広い面積へ分散し、被締結物の傷付きや座面の陥没を抑えるために使用します。ただし、ワッシャーにはさまざまな種類があり、役割は一つではありません。平ワッシャーは座面保護や荷重分散、テーパーワッシャーは傾斜面の補正、シムワッシャーはすき間や位置の調整、樹脂ワッシャーは絶縁や表面保護などを目的として使用されます。また、歯付きワッシャーやくさびロックワッシャーのように、ナットやボルトの回転を抑制する目的で使用される製品もあります。使用目的に合った種類を選ぶことが重要です。
ワッシャーと座金に違いはありますか?
基本的に、ワッシャーと座金は同じ部品を指す言葉です。 「ワッシャー」は英語のwasherに由来する呼び方で、「座金」は日本語での名称です。
例えば、
- 平ワッシャー=平座金
- スプリングワッシャー=ばね座金
- 歯付きワッシャー=歯付き座金
のように呼ばれます。
製品カタログやJIS規格では「座金」という名称が使用されることがありますが、機械整備や一般的な現場では「ワッシャー」という呼び方も広く使われています。
ワッシャーはボルト側とナット側のどちらに入れますか?
締結構造や使用目的によって異なり、必ずボルト側・ナット側という一律の決まりはありません。座面保護や荷重分散が必要な位置へ使用し、設計図面やメーカーの指定がある場合はその指示を優先してください。
ワッシャーとスプリングワッシャーの順番は?
平ワッシャーとスプリングワッシャーを併用する場合、一般的にはナット → スプリングワッシャー → 平ワッシャー → 被締結物の順番で使用します。ただし、締結条件やメーカー指定によって異なるため、設計図面や施工要領を優先してください。
平ワッシャーには緩み止め効果がありますか?
一般的な平ワッシャーの主な役割は、座面圧の分散や被締結物の表面保護であり、平ワッシャー単体を積極的な緩み止め部品として考えるのは適切ではありません。平ワッシャーを入れることで座面状態が安定する場合はありますが、それだけで振動によるナットやボルトの回転ゆるみを確実に防止できるわけではありません。緩み対策が必要な場合は、使用条件に応じて、くさびロックワッシャー、ロックナット、ダブルナット、ねじロック剤などの方法を検討します。特に振動や衝撃が大きい箇所では、設計条件に適した緩み止め方法を選ぶことが重要です。
ワッシャーは必ず必要ですか?
ワッシャーはすべてのボルト締結に必ず必要な部品ではありません。例えば、被締結物に十分な強度があり、ボルト頭部やナットの座面で必要な接触面積を確保できる場合は、ワッシャーを使用しない締結もあります。また、フランジボルトやフランジナットのように、広い座面を一体で備えた締結部品では、別途ワッシャーを必要としない場合があります。一方、アルミや樹脂など比較的柔らかい部材を締結する場合、ボルト穴が大きい場合、座面の傷や陥没を防ぎたい場合などは、ワッシャーが有効です。したがって、「ワッシャーは必ず入れるもの」と考えるのではなく、何の目的で必要なのかを確認して使用することが重要です。
ワッシャーのサイズはどうやって選びますか?
ワッシャーは、使用するボルトの呼び径に対応したサイズを基本に選びます。内径だけでなく、外径・厚さ・材質も確認し、被締結物の材質や穴径、締付荷重、使用環境に適したものを選定してください。
ワッシャーの種類と役割を理解して適切に選ぼう
ワッシャーは、ボルトやナットと被締結物の間で荷重を分散し、座面を保護するなど、締結品質を支える重要な部品です。ただし、平ワッシャー、ばね座金、歯付きワッシャー、テーパーワッシャー、シムワッシャーなど、種類によって役割は異なります。
ワッシャーを選ぶ際は、ボルト径だけでなく、使用目的、内径・外径・厚さ、材質、JIS規格、使用環境などを確認することが重要です。また、すべてのワッシャーが緩み止めになるわけではないため、振動や衝撃がある締結部では使用条件に適した対策を検討してください。重要な締結部では、設計図面、施工要領、メーカーの仕様を優先し、用途に適したワッシャーを選定しましょう。
