六角ボルトとは?特徴・用途・メリットデメリットを解説

六角ボルトとは頭部が六角形になっている最も一般的なボルトの一種です。スパナやレンチで締め付けることができ、建築・機械・自動車・設備・橋梁など非常に幅広い分野で使用されています。「ボルト」と聞いて多くの人が最初にイメージするのがこの六角ボルトです。構造がシンプルで扱いやすく、サイズや材質の種類も豊富なため、世界中で標準的な締結部品として採用されています。

六角ボルトとは

六角ボルト締結

六角ボルト最大の特徴は頭部が六角形になっていることです。六角形にすることで工具をしっかり掛けやすく、大きな力を加えて締め付ける事ができます。そのため、高い締結力を得やすく、重量物や大型構造物の固定にも適しています。また、六角ボルトは非常に規格が充実している点も特徴です。小さなサイズから大型サイズまで幅広く存在し、材質も鉄、ステンレス、合金鋼など多岐にわたります。さらにユニクロメッキや溶融亜鉛メッキなど表面処理の種類も豊富で使用環境に応じて適切な仕様を選定できます。

ボルト締結では締め付けることでボルトがわずかに引き伸ばされ、その反発力によって部材同士を固定します。六角ボルトはレンチによって高い締付トルクを与えやすいため、安定した軸力を得やすいという特徴があります。一般的に締付トルクと軸力には次のような関係式が用いられます。

T=KFd

この式ではTが締付トルク、Kがトルク係数、Fが軸力、dがボルト径を表しています。つまり、六角ボルトは適切な締付管理を行う事で安定した締結性能を発揮できるボルトと言えます。

六角ボルトのメリット

六角ボルトのスパナを用いた締結

六角ボルトの大きなメリットは高い締結力を得やすい事です。六角ボルトはレンチを使ってしっかり締め付ける事ができるため、大きな軸力を発生させやすく、機械設備や建築構造物など高い強度が求められる場所でも安心して使用できます。

また、六角ボルトは世界中で広く使用されているため入手性にも優れています。価格も比較的安価です。そのため、コストパフォーマンスに優れた締結部品として多くの現場で採用されています。さらに特殊な工具を必要としない点もメリットです。一般的なスパナやレンチで脱着できるため、保守点検や交換作業がしやすく、メンテナンス性にも優れています。現場での作業効率を高めやすい点は、六角ボルトが長年広く使われ続けている理由のひとつです。

六角ボルトのデメリット

スパナによる高さ制限がある箇所のボルト締結作業

一方で六角ボルトにはデメリットもあります。代表的なのは工具を回すためのスペースが必要になることです。頭部の外側からレンチを掛ける構造のため、周囲に十分な作業スペースがないと締め付けや取り外しが困難になります。特に狭い場所では作業性が悪くなることがあり、そのような環境では六角穴付きボルトが採用されるケースもあります。また、六角ボルトは頭部が外側へ出っ張るため、表面をフラットにしたい場所には不向きです。機械内部やカバー付近では干渉の原因になる場合もあります。さらに振動や衝撃が大きい環境では六角ボルト単体では緩み対策が不十分になることがあります。

六角ボルトのサイズ早見表

以下は一般的なJIS系六角ボルト(並目ねじ)の代表寸法をまとめたサイズ早見表です。主に「呼び径」「ピッチ」「二面幅(スパナサイズ)」「頭部高さ」を一覧化しています。「呼び径(M)」はボルトの太さを表しています。例えばM24なら、ねじ部の外径がおおよそ24mmです。「ピッチ」はねじ山同士の間隔を意味しており、数値が大きいほどねじ山の間隔が広くなります。一般的な六角ボルトでは並目ねじが標準的に使われています。

「二面幅」は六角頭部の平らな面と面の距離で、実際に使用するスパナやソケットレンチのサイズです。例えばM20なら30mmのレンチを使用します。「頭部高さ」は六角頭部の厚みを表しており、大型サイズになるほど頭部も大きく重くなります。

呼び径(M) ピッチ mm 二面幅 mm 頭部高さ mm
M3 0.5 5.5 2
M4 0.7 7 2.8
M5 0.8 8 3.5
M6 1.0 10 4
M8 1.25 13 5.3
M10 1.5 17 6.4
M12 1.75 19 7.5
M14 2.0 22 8.8
M16 2.0 24 10
M18 2.5 27 11.5
M20 2.5 30 12.5
M22 2.5 32 14
M24 3.0 36 15
M27 3.0 41 17
M30 3.5 46 18.7
M33 3.5 50 21
M36 4.0 55 22.5
M39 4.0 60 25
M42 4.5 65 26
M45 4.5 70 28
M48 5.0 75 30
M52 5.0 80 33
M56 5.5 85 35
M60 5.5 90 38
M64 6.0 95 40
M68 6.0 100 43
M72 6.0 105 45
M76 6.0 110 48
M80 6.0 115 50
M85 6.0 120 53
M90 6.0 130 56

六角ボルトと六角穴付きボルトの違い

六角ボルトと六角穴付きボルトの違い

六角ボルトと六角穴付きボルトの大きな違いは工具を掛ける場所とボルト頭部の形状です。六角ボルトは頭部の外側が六角形になっており、スパナやめがねレンチ、ソケットレンチを外側から掛けて締め付けます。工具を掛けるためにボルト頭部の周囲へ一定のスペースが必要ですが一般的な機械や建築物、自動車など幅広い用途で使用されています。

一方、六角穴付きボルトは円筒形の頭部に六角形の穴が設けられており、一般的には六角棒レンチを差し込んで締め付けます。「キャップボルト」と呼ばれることもあります。工具を頭部の上から差し込むため、ボルト周囲のスペースが狭い場所でも作業しやすく、工作機械や精密機器、金型など、コンパクトな設計が求められる箇所に適しています。

つまり、六角ボルトは「頭部の外側に工具を掛けるボルト」、六角穴付きボルトは「頭部の穴に工具を差し込むボルト」です。どちらを使用するかは、取り付けスペース、必要な強度、作業性、外観などを考慮して選定します。なお、六角穴付きボルトには高強度の製品が多くありますが、強度は形状だけで決まるものではないため、強度区分や材質も確認する必要があります。

六角ボルトの締め付け方法

六角ボルトは頭部の外側にスパナやめがねレンチ、ソケットレンチを掛けて回します。基本的な流れは「手締め・仮締め・本締め・確認」です。重要なのは力任せに締めるのではなく、用途に応じた締付けトルクと順序を守ることです。

六角ボルトの基本的な締め付け手順

  1. ボルトと締結部を確認する
    ボルト径、ねじピッチ、強度区分、材質、表面処理に間違いがないか確認します。ねじ山の傷、錆、異物なども点検します。
  2. 手で回して取り付ける
    最初から工具を使用せず、数山分は手で回します。斜めに入った状態で工具を使うとねじ山を損傷する「斜め締め」の原因になります。
  3. 適合する工具で仮締めする
    ボルト頭部の二面幅に合ったスパナ、めがねレンチ、ソケットレンチを使用します。工具のサイズが合っていないと角をなめてボルトを回せなくなることがあります。
  4. 段階的に締め付ける
    複数のボルトで部品を固定する場合は1本だけを最初から強く締めず、対角線上のボルトを順番に締めます。締付け力を数回に分けると、部品の傾きや締結面の偏りを抑えられます。
  5. 規定トルクで本締めする
    最終的にはトルクレンチを使用し、指定された締付けトルクまで滑らかに締め付けます。トルクレンチが作動した後に繰り返し締めると過剰締付けになる可能性があります。
  6. 締付け状態を確認する
    ボルトの浮き、部品のずれ、締め忘れがないか確認します。必要に応じてマーキングを行い、締付け済みであることを識別します。

六角ボルトの種類

六角ボルトにはさまざまな種類がありますが主に「ねじ山の長さ」「頭部の形状」「ねじピッチ」「材質・強度」の違いによって分類できます。

1. 全ねじ六角ボルト

全ねじ六角ボルトは頭部の近くから先端まで軸のほぼ全体にねじ山が設けられているタイプです。ナットを締め込む位置の自由度が高いため、締結する部材の厚さが一定でない場合や、薄い部材を固定する場合に適しています。ただし、ねじ山部分は軸部より断面積が小さいため、大きなせん断荷重が加わる場所では注意が必要です。

全ねじ六角ボルト

2. 半ねじ六角ボルト

半ねじ六角ボルトは、先端側にだけねじ山があり、頭部側にはねじ山のない円筒状の軸部が残されているタイプです。「半ねじ」という名称ですが、必ずしも軸の半分だけにねじ山があるわけではありません。ねじ山のない軸部を部材の穴に通すことで、部品同士の位置を安定させやすいことが特徴です。また、接合面にねじ山ではなく軸部が位置するようにすれば、せん断荷重を受ける部分の断面積を大きく確保できます。そのため、厚い部材の締結や横方向の荷重を受ける箇所に適しています。

半ねじ六角ボルト

3. 小形六角ボルト

小形六角ボルトは、同じボルト径の一般的な六角ボルトよりも、頭部の六角部分が小さく設計されたタイプです。頭部をコンパクトにできるため、取り付けスペースが限られている機械や、外観をすっきりさせたい場所で使用されます。ただし、使用するスパナやソケットのサイズも通常の六角ボルトとは異なる場合があるため、工具サイズの確認が必要です。

小型六角ボルト

4. フランジ付き六角ボルト

フランジ付き六角ボルトは、頭部の下に円形のつばが一体化されたタイプで、一般に「フランジボルト」と呼ばれます。フランジが平座金のような役割を果たすため、締付け力を広い面積に分散でき、ボルト頭部が部材へめり込む「座面陥没」を抑えられます。また、座金を別に取り付ける必要がないため、部品点数や組立工数を減らせます。オノウエ「フランジ付き六角ボルト」フランジの裏側に「セレート」と呼ばれる凹凸を設け、部材に食い込ませて回転を抑えるタイプもあります。ただし、相手材の表面を傷つける可能性があるため、使用場所を選びます。

フランジ付き六角ボルト

5. 細目六角ボルト

一般的な六角ボルトには標準的なピッチの「並目ねじ」が使われますが、ねじ山の間隔を細かくした「細目ねじ」の六角ボルトもあります。細目ねじは、同じ距離を締め込むために必要な回転数が多いため、締付け位置を細かく調整できます。また、同じ呼び径の並目ねじよりねじ谷径が大きくなるため、ねじ部の有効断面積を確保しやすいという特徴があります。一方、異物の影響を受けやすく、ねじのかじりにも注意が必要です。

細目六角ボルト

6. 高力六角ボルト

高力六角ボルトは主に鉄骨構造物の接合に使用される高強度のボルトです。一般的な機械用六角ボルトとは異なり、専用のナットや座金と組み合わせ、強い軸力を与えて部材同士を固定します。名称や外観が似ていても、一般的な六角ボルトと高力ボルトでは規格、締付け方法、施工管理が異なるため、単純に置き換えることはできません。

高力六角ボルト

大型サイズの六角ボルトについて

大型の六角ボルトは橋梁、鉄骨、発電設備、大型プラント、重機設備などで使用されることがあります。特に大型ボルトでは締付トルクも非常に大きくなるため、人力だけではなく油圧トルクレンチや大型インパクトレンチが使用されるケースも多くなります。また、大径ボルトになるほど軸力管理やトルク管理の重要性も高まるため、単純な手締めではなく、規定トルクによる管理締付が行われることが一般的です。

省力化

六角ボルトのよくある質問

六角ボルトを正しく使用するためには、ナットやワッシャーとの組み合わせ、適切な締付トルク、再使用の可否など、用途や使用条件に応じて確認すべきポイントがあります。ここでは、六角ボルトの選定や締め付け、取り外し、メンテナンスなどで疑問になりやすい内容について、よくある質問をもとにわかりやすく解説します。

六角ボルトとナットはセットで使う?

六角ボルトとナットはセットで使用することが多いですが、必ずセットで使うわけではありません。部材にねじ山のない貫通穴が設けられている場合は、六角ボルトを穴へ通し、反対側からナットを取り付けて締結します。一方、機械部品などに雌ねじが加工された「タップ穴」がある場合は、六角ボルトを直接ねじ込めるため、ナットは必要ありません。また、締結面の保護や荷重の分散、緩み対策などを目的として、用途に応じて平ワッシャーや緩み止め部品を併用することもあります。したがって、ナットが必要かどうかは、取り付ける部材の穴にねじ山があるかどうかや、締結部の構造によって決まります。

六角ボルトにワッシャーは必要?

六角ボルトにワッシャーが必ず必要というわけではありません。締結面に十分な強度と平滑性があり、ボルト頭部やナットの座面が適切に接触する場合は、ワッシャーを使用しないこともあります。一方、締結する部材が柔らかい場合や、ボルト頭部の荷重を広い範囲へ分散したい場合、締結面の傷や陥没を防ぎたい場合、穴が大きい場合などには平ワッシャーが有効です。また、緩み対策を目的として特殊な座金を使用することもありますが、一般的なワッシャーを入れるだけで必ず緩みを防げるわけではありません。ワッシャーの必要性は、部材の材質、穴の大きさ、締付け荷重、振動の有無などを考慮し、設計図面や施工基準に従って判断することが重要です。

六角ボルトは再使用できる?

六角ボルトは状態や用途によって再使用できる場合がありますが、すべてのボルトを繰り返し使用できるわけではありません。取り外したボルトに伸び、曲がり、亀裂、錆、ねじ山のつぶれ、頭部の変形などがある場合は交換が必要です。また、塑性域まで締め付けるトルク・アングル法を採用したボルトや、メーカーが再使用を禁止しているボルトは、外観に問題がなくても原則として再使用できません。繰り返し使用すると表面処理や摩擦状態が変わり、同じトルクで締めても適切な軸力を得られないことがあります。そのため、安全性が重視される機械や建築物、自動車などの重要な締結箇所では、新品への交換を基本とし、設計図面やメーカーの整備基準に従って判断することが重要です。

六角ボルトの締付トルクは?

六角ボルトの締付トルクは一律ではなく、ボルトの呼び径、ねじピッチ、強度区分、材質、表面処理、潤滑状態、ワッシャーの有無などによって異なります。特に潤滑されたボルトは摩擦が小さくなるため、乾燥状態と同じトルクで締めると、想定以上の軸力が発生する可能性があります。そのため、締付トルクは設計図面、製品メーカーの指定値、施工要領書などに従って設定することが基本です。一般的なトルク表を使用する場合も、ボルトの強度区分や摩擦条件が実際の使用条件と一致しているか確認する必要があります。締め付け不足は緩みや疲労破壊、締め過ぎはボルトの伸びやねじ山の破損につながるため、最終締付けには適切に校正されたトルクレンチを使用します。

六角ボルトと高力ボルトの違いは?

六角ボルトと高力ボルトは、分類の基準が異なります。六角ボルトは頭部が六角形になっているボルトの総称で、機械設備、建築物、自動車など幅広い用途に使用されます。一方、高力ボルトは一般的なボルトより高い強度を持ち、主に鉄骨構造物の接合部など、大きな締結力が必要な場所で使用されるボルトです。高力ボルトにも六角形の頭部を持つ製品があるため、外観だけでは一般的な六角ボルトと区別しにくい場合があります。大きな違いは強度、用途、締付け方法、品質管理にあり、高力ボルトは所定の軸力を確保するため、専用のナットやワッシャーと組み合わせ、定められた方法で締め付けます。したがって、頭部が六角形だから高力ボルトというわけではなく、強度区分や製品規格、用途を確認して判断する必要があります。

六角ボルトの外し方は?

六角ボルトを外すときは、ボルト頭部の二面幅に合ったスパナ、めがねレンチ、ソケットレンチなどを確実に掛け、通常は反時計回りに回します。ボルトとナットで締結されている場合は、反対側が共回りしないように一方を工具で固定し、もう一方を緩めます。固着して動かない場合は、浸透潤滑剤をねじ部へ塗布して時間を置き、工具を奥まで掛けて少しずつ力を加えます。必要に応じてインパクトレンチを使用する方法もありますが、過度な力を加えるとボルトの頭部やねじ山を損傷するため注意が必要です。頭部の角がなめている場合や、錆による固着が激しい場合は、ボルトエキストラクターなどの専用工具を使用するか、専門業者へ依頼することが安全です。なお、左ねじなど一部の特殊なボルトは回す方向が反対になるため、作業前にねじの種類も確認します。

この記事を書いた人

当部署はデジタルマーケティングからリアルなプロモーション活動まで幅広く対応し、変化の激しい市場環境の中でも柔軟かつスピーディーに対応することを強みとしています。

企業競争力を高め、持続的成長に貢献することを使命とし、常に効果検証と改善を繰り返しながら、最適解を追求し続けます。